アメリカ経済はサービス部門の活況で、雇用も堅調、賃金も上昇で、その結果が消費者物価の上昇率が3%を切らず、この所は前月比も上昇という事のようです。
経済が元気という事は結構なことですが、生産性の上がりにくいサービス部門が好調というのは何か心配でもあります。生産性が上がらないと人手不足、求人増につながり、雇用増が経済の活発化、好況の先行指標と考えるアメリカの見方ではいいかもしれませんが、そのせいで賃金が上がり、消費者物価が下がらないという事になりますと問題が出て来ます。
というのは、FRBはインフレ目標2%を掲げ、それが達成されれば金利を引き下げ景気抑制策を止めると言っているのですが、この所消費者物価が3%がらみでそれ以上低くならないといった様子だからです。
FRBのパウエルさんは、この分では金利引き下げは当面視野に入らないといった発言をしています。アメリカの経済成長率の予想は、今年は2.6%(実質)で良いのですが金利が下がらないと住宅建設や製造業の景気は良くならないので、来年は1.8%の成長に減速の予想だそうです。
これはアメリカにとっても良くないのですが、アメリカの金利が下がらないと、日本との金利格差が開いたままになる可能性が大きく、日本は円安が更に進むとか、アジア諸国なども通貨安になってインフレ進行、経済不安などが言われ始めています。
アメリカは、今、国際情勢の不安定で、ウクライナ支援をはじめ出費が多ですから、ドル高の方が良い面もあるかもしれませんが、国際競争力という面では当然問題が出るでしょう。
その具体的現われかどうかは解りませんが、バイデン大統領が、中国製電気自動車(EV)の関税を25%から100%に引き上げるというショッキングな発言をし、更に中国対象に電池やソーラーパネル、加えてアルミや鉄鋼といった工業原材料の関税引き上げにも言及しています。
中国は当然これに反発して、何かトランプさん時代の関税引き上げ競争のような雰囲気になってきそうな気配です。
覇権国、基軸通貨国のアメリカが果たさなければならない役割は大変かと思いますが、残念ながら、アメリカの経済力はそれについてけないのが現状でしょう。
日本も、アメリカら防衛装備品など、色々な物を買わなければならないようですが、円安もあり大変な値上がりのようです。
今の対米関係では、NY市場と東京市場の関係のように、アメリカに依存して動くものがたくさんありますから、アメリカの経済情勢には最大限の注意を払わなければなりませんし、同時に、日本経済自体も、もっと確り力をつけなければならないのでしょう。
それにしては、日本の政権の現状は、一体何を考え、何をやっているのかコップの中の泥仕合という情けなさです。これではダメだと思っている人は大勢いるのでしょうが、それでは何をすべきかをきちんと考える人が出てこないというのが今の日本の一番の悲劇のような気がします。