tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

閣僚の為替レート発言に思う

2010年01月09日 15時42分54秒 | 経済
閣僚の為替レート発言に思う
 財務大臣に就任した菅直人氏が為替レートについて90円台半ばが望ましいことを示唆するような発言をして物議をかもしたようです。

 一連の論議の中で、為替レートについては、一国の政府や金融の責任者は発言すべきでないといった意見がまだあったようですが、これは「マーケットは神聖にして冒すべからざるもの」というとい言い過ぎかもしれませんが、そういったマーケットを大事にしようという、いわば、伝統的なオーソドックスな考え方によるものでしょう。

 市場が特定のものの意志によって動かされることが無いような、理想的な健全な市場であれば、それも正しい判断かもしれません。
 そして日本ははっきりいって、そうした「市場に抗うべきではない」といった「市場至上主義」にあまりに忠実であり過ぎるような気がしてなりません。

 ところで、今日の国際金融市場というのは一体どんな所なのでしょうか。
 昨年9月の ロンドンG20のコミュニケでは
 金融安定化のため、金融機関の監視と規制の必要をのべ、「フィナンシャル スタビリティー フォーラム(FSF) をフィナンシャル スタビリティー ボード(FSB)に強化し、IMFと協力、マクロ経済や金融のリスクに対する早期の警告をする」といっています。
 そしてその対象の中には金融機関のほか主要なヘッジファンドも入れるといっていますし、将来は過度なレバレッジ の規制も、さらには格付け機関の監視にも言及しています。

 実体経済に比し著しく過大なマネーを持ち、キャピタルゲインを求めて、相場の振幅を増幅して利用する マネー資本主義に牛耳られることもありうる国際金融市場です。

 手をこまねいていては宮沢回顧録にあるように、一国の総理が「あの時は毎日大幅な円高で本当に困りました」といっているうちに「失われた10年」の奈落に落ちていくことになるのです。

 今の国際金融市場は、神聖なものでもなんでもなく、資本主義の鬼子であるマネー資本主義のプレーヤーたちの欲望渦巻く世界なのです。

 閣内の十分な論議も必要でしょう。日銀とのコミュニケーションも大切です。産業界、国民の意見もありましょう。しかし為替レートを成り行きに任せて経済運営が出来るほど今の世の中甘くはありません。

 因みに、固定相場制時代に比し、自国通貨を4倍にも切り上げ (させられ)ている国は日本とスイスぐらいで、ものづくりで生計を立てている国としては日本だけではないでしょうか。


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