tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価の話

2015年12月07日 12時40分03秒 | 経済
消費者物価の話
 アメリカの中央銀行FRBも日銀総裁の黒田さんも消費者物価指数が年率2パーセント程度上昇するのが正常で健全な経済のようにいっていますが、最近、先進国の物価はなかなか上昇しません。

 このブログでは、デフレでなければ、消費者物価の上昇率は低いほうがいいと繰り返していますが、物価が上がらなければ景気が良くならないと考えている人は多いようです。
 かつて「数量景気」などという言葉もあって(昭和30年代初期、神武景気の頃)価格が上がらなくて、生産・消費が量的に増えるのが望ましいという考え方もありました。

 今先進国で物価が上がらない理由は知られていて、先進国の資本と技術が途上国に行き、割安な人件費で高品質なものが出来て、先進国市場に入って来るので、先進国の企業は価格引き上げができない、ということです。

 消費者には結構ですが、先進国企業には困ったことです。でもそれは自分たちが低賃金利用を目的に途上国に進出してやっていることですから文句も言えません。
 輸送コストも下がって、世界のどこで作ってもいいような状態です。

 まさに経済、生産活動のグローバル化の結果で、ある意味では大変結構なことなのでしょう。これもグローバルな資本の移動、情報・技術の移動、モノの移動(輸送)などのインフラが進歩したからで、以前のような「経済の国境」という概念は、かなり薄れています。

 これからの自由化された環境の中では、先進国経済は、ある国はインフレがひどく、ある国は低インフレ、ある国はデフレといったことは、為替レートの無理な変更がない限り、多分見られなくなるのではないでしょうか。

 アメリカは消費者物価が2パーセント上昇にならなくても、雇用が堅調なら利上げに踏み切ろうとしています。これは、かつて言われた「数量景気」を是認していることにほかなりません。

 少し余計なことを付け加えますと、経済が量的拡大から質的向上の時代に入ってきていますから、数量景気ではなくて「品質景気」という言葉が生まれてもいいのではないでしょうか。

 良い品やサービスが納得のいく値段で買える、物価は上がらないけれども、生活の質はどんどん良くなる、大変結構なのではないでしょうか。

 大変結構なことですが、消費者物価指数といった統計の技術面では、これが大変難しい問題を生むでしょう。
 それはいわゆる「原単位」の問題です。数量景気ならTV1台が2台になれば値段は2倍で1台の値段は同じ、物価上昇ゼロです。

 ハイビジョンが4K、8K、になったら1台の単価はいくらになるのが合理的か?自動停止装置のついた車の価格はいくら高くすべきか、1割高くて合理的か、2倍が合理的か原単位の価格の合理的決定をどうするのか、総務庁統計局は大変ですね。
 品質が上がって値段が据え置きなら統計上はデフレでしょうか・・・・・。


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