tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

成果主義と年功賃金 1 <職能資格給>

2014年12月23日 23時24分08秒 | 労働
成果主義と年功賃金 1 <職能資格給>
 円高の解消で日本経済も正常な経済活動を取り戻し、さしあたって安定した状況が予測され、経済成長率も次第に高まっていくと思われます。

 当然賃金も上昇していくことになります。連合の賃上げ要求もきちんとした数字になり、経営側も引き上げる気になって来ているようです。
 年末ボーナスは、かなりの伸びになりました。日本の経営者は、一時的な収益向上にはボーナスで応え、着実な企業成長には賃金で応えるというのがかつてからの基本的な考え方です。この基本は変わっていないようです。

 こうした「企業あるいは経済の成長と賃金への配分」という問題に並んで、いわゆる賃金問題の中には、「賃金制度、賃金体系」といった問題も入って来ます。
 そして、賃金引き上げが出来るような状況が出て来る中で、改めてこうした問題が取り上げられてきています。

 最近の論議を見れば、伝統的な年功賃金体系の良さを認めようという視点と、そうした古い殻から脱して、成果や役割をより重視した賃金制度にすべきという視点に大きく区分できるのではないでしょうか。

 現実の日本の賃金制度・体系は、一括りに「職能資格給」といわれ、これは人事制度の「職能資格制度」と裏腹の関係になっています。
 この職能資格制度というのは、戦後日本経済の発展の中で、大幅インフレの中でのベースアップと定期昇給制度(年功賃金の原型)のせめぎ合い、その後の高度成長期、さらには安定成長と高齢化などなどにもまれながら、年功賃金の欠点を修正しようと時間をかけて熟成してきたものです。

 そうした経緯を持つものですから、「職能資格給」というのは大変良く出来ていて、それぞれの産業や企業文化に応じて、年功色を強くしたり、能力主義を色濃く出したり、当然「役割」や「成果」をより生かすことも可能、まさに柔軟性に富んだ制度です。

 もう1つ日本の賃金制度の特色に「賞与・一時金」があります。いわゆるボーナスです。冒頭にも振れましたように、この冬のボーナスはかなり伸びました。円高で予想外の利益が出ればそれは「ボーナスで」というのが日本の伝統的な支払い形態で、かつてMITのワイツマン教授が「シェア・エコノミー」という本を書いて絶賛したものです。

 此の所の長期不況、マネー経済化の中で、実体経済に適切にマッチした日本の賃金制度が一部に忘れられ、極端な成果主義などが言われたりしますが、賃金制度については、これは国や企業の「文化」と関わるものだけに、これまでの日本の賃金制度の進化を十分に学び、より良い選択をしてほしいと思う所です。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿