tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

成果主義と年功賃金 2 <年功賃金成立の要件>

2014年12月25日 09時57分50秒 | 労働
成果主義と年功賃金 2 <年功賃金成立の要件>
 賃金の制度・体系を考える場合に必要となるものに「合理性」と「納得性」の2つがあるように思います。

 合理性というのは通常「同一労働・同一賃金」などに代表されるように、賃金は「労働の対価」というのなら「働きに応じた賃金」が合理的という視点でしょう。
 もっとはっきり言えば、「稼ぎに応じた賃金」「同一価値労働・同一賃金」とか「同一付加価値労働・同一賃金」とかいうことになるのでしょう。成果主義などはこの視点からのものでしょう。

 納得性は少し違うようです。入社2、3年目の優秀な社員が「もう俺は1年先輩には十分追いついた」と思い、上司もそれを認めたとしても、賃金は1年先輩より低いのが年功賃金です。そして本人も通常それで納得しています。
 納得性というのは、多少合理性に欠けているとしても、「世の中そういうものでしょう」ということで特に文句はないということです。
 君は良く出来るからと、ボーナスの上積みでもあれば、本人は十分納得です。

 何故それで納得るかというと、単に制度がそうだからというのではなく、その会社での自分の永い将来を考えるからということのようです。早期の役職昇進、更には役員への昇進、長い目で見れば、リターンはいろいろ考えられます。
 つまり、同一価値労働・同一賃金でなくても納得しているというのは、仕事と賃金の関係を長期的に考えているからで、こうした納得性の背後には「人間と企業との関係の在り方」が関係しているからでしょう。

 同じその人でも、もし2~3年間の契約社員で働いているとしたら「俺の方が仕事が出来る」と企業に契約賃金の改定を要求するのではないでしょうか。

 J.アベグレンが、かつて日本的経営の3要素として、終身雇用、年功賃金、企業別組合を挙げましたが、年功賃金と長期雇用は表裏の関係にあるということでしょう。

 かつても触れましたが、日本は世界でもまれな長寿命の企業が多い国です。また同じように、個人と企業の関係でも、基本的には「定期採用で正社員」、つまり、学卒で入社し、多分、その企業で定年まで頑張る、という長期の関係が常識の国です。

 年功賃金が根強く日本企業に残るのも、こうした社会・文化的背景があってのことです。次回は年功賃金の長所と欠点について考えてみましょう。


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