tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

世界の有給利用状況とコロナの影響

2021年02月24日 23時01分21秒 | 労働
世界の有給利用状況とコロナの影響
 「日本人は働き者だから有給休暇があるのに、それを使い残している。欧米では有給休暇の日数も多いし、みんな100%消化するのが当たり前」といった話を聞かれたサラリーマンの方は多いと思います。

 「多分そうだろうな」と私も考えていました。そして、これについては大きく2つの見方があって、1つは、日本人らしく、それは日本人の勤勉さによるもので日本文化の反映だからと肯定する意見、もう一つは、呉れたものを使わないのは異常、だから以前から『ウサギ小屋に住む働き中毒』などと批判される、といったものでしょう。

 ところで統計的には日本には「労働条件総合調査」が有給取得率の統計をだしていますが、外国では全部取って当たり前だからそんな統計はないと聞いて、私もそうかなと思っていました。
 恐らくほとんどの専門家の方々もそう思っておられるでしょう。

 ところが、案に相違して、民間の調査ですが、国際比較の調査があることを、日経(産業)新聞で知ることになりました。

 確かに外国の正式な統計では有給取得率はないようですが、アメリカのオンライン旅行会社エクスペディアの日本社「エクスペディア・ジャパン」ではこの所毎年、有給休暇についての調査をしているのです。

 2020年につての16か国・地域の調査が発表されて、日経が紹介したのを拝見し、「え!こんな調査があったの」という感じでした。

 勿論民間企業の調査で、2020年は16か国・地域(2019年は19か国・地域)の9200人の調査ですから国の統計調査のような性格なものではないにしても、有給休暇制度のある企業の従業員についてはほぼこんな所ですという、それなりに納得性のある数字だと思います。

 調査結果を一覧表ににしますと、下のようです。

16国・地域の有給休暇関連指標

     エクスペディア・ジャパンの調査による

 確かにヨーロッパ主要国については、従来の常識とほぼ同じですが、びっくりしたのはアメリカです、有給の付与日数が10日(法律は勤続年数により10~20日、多分新しい会社で勤続が短い)で半分しか消化していないというのは、アメリカを代表する数字とはいえませんが、そういう従業員、一般的に存在することは事実でしょう。

 図では青が付与日数、茶が例年の取得日数、緑が2020年の取得日数で、今回のデータ発表に目玉は、コロナの影響で有給所得率が下がった(台湾を除く全域で所得日数が下がった)という実体と理由の説明でした。

 休暇を取らなかった最大の理由は全体に共通で、「①コロナのせいで旅行に行けなかった」ということ、次が「②緊急時のためにとっておく」、「③はカネがない」、だそうです。

 日本の場合はこれが、①緊急時のためにとっておく、②仕事の都合で取れない、③コロナのせいで旅行に行けなかった、という順番です。

 2番目の「仕事の都合」というのは日本の特徴のようです。

 調査結果で感じられるのは、
   ・有給付与日数は日本は結構多い
   ・100%消化しない国も結構ある
   ・有給は旅行に使うが世界の常識(日本人は家でのんびり?)
といったところでしょうか。

 いずれにしても滅多に見られなかった海外の有給事情を覗く窓があったことが分かったので、早速紹介した次第です

最新の画像もっと見る

コメントを投稿