tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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成果主義と年功賃金 4 <職能資格給、仕事給(職務給)、成果給>

2014年12月29日 15時08分13秒 | 労働
成果主義と年功賃金 4 <職能資格給、仕事給(職務給)、成果給>
 職能資格給というのは日本の発明ですから適切な英語はありません。私は”pay for abity to perform jobなどといっています。
 一般的な形は、年功給の「功」の方を年代が上がると共に重視し、企業内の仕事を数ランクから十数ランクの職能等級にランク付けし、そのランクの範囲で能力の向上に従って、昇給していくが、上のランク(職能等級)に上がらなければ、年々の昇給は次第に低減、ランクの上限に達すると昇給はなくなる、というものです。
 勿論能力が向上すれば上のランクの仕事に移り、昇給は続きます。

 欧米では職務給がベースですが、ホワイトカラーの場合などは、職務をレベル別にまとめてかなり広い幅のバンドに収め、ワイダ―バンドなどと称し、その上のバンドに移らない限りその範囲の中で査定された給与を受け取るといった形が流行っているようで、日本の能力ベース、欧米の職務ベースの違いがあっても、何だか似たようなものになっているような気もします。

 日本で「仕事給」というのは、直訳すればjob wage つまり職務給ですが、欧米のように、職務が決まっていて、それに人間を当てはめるのはパート賃金ぐらいで、正社員の場合は厳密に職務が決まっていることは少ないので、実際にやった仕事に賃金を払うという意味で、「仕事給」というようです。
 余裕があれば、隣の仕事も手伝うといった日本の職場の習慣では、本来の職務給はなかなか成立しません。

 成果給は pay for performance 成果による賃金です。タクシードライバー、セールスマン、生保レディ(男もあり)、ファンドのマネジャーやトレーダーなどは基本的に成果給ですが日本の場合は固定給と組み合わせが多いようです。これは、成果への刺激を生かしながら、生活の安定も考慮するという、日本的なバランス感覚の結果でしょう。

 従来の日本的な方式で言えば、通常の社員の場合は、成果反映の部分はボーナスでということになるのでしょう。生保の勧誘員やファンドマネジャーのような完全な専門職として働く場合は、成果給1本という形もあるわけです。

 今、政権や財界がよく言うのは成果給とか成果型賃金のようです。どんな成果給かという論議まではなくて、「成果が上がらなければ賃金は払えないのだから、成果給は当然」という考え方のようです。
 そこには、現実の成果給適用場面についての決定的な誤解があるようです。(以下次回)


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