tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

インドの3億人ワクチン接種計画に驚嘆

2021年01月25日 20時42分40秒 | 科学技術
インドの3億人ワクチン接種計画に驚嘆
 世界的製薬大国である事はあまり知られていないインドですが、この夏までに、3億人に新型コロナ・ワクチンを接種するとモディ首相が発表しました。

 いまやアメリカに次ぐ新型コロナ感染国になって心配されていたインドですが、この発表には度肝を抜かれた方も多いのではないかと思います。

 インドは、IT 技術では、世界に冠たる実績で知らますが、製薬大国の側面は、それほど有名ではありませんでした。
 今回の報道では「世界の薬局」などという見出しもありますが、私もインドの製薬業界の企業規模と収益力については、かつて驚かされた経験があります。

 現役の頃、たまたま知り合って一緒に仕事をしたインド人で、インドの外資系製薬会社の役員で、コンサルタントもやっていた友人がいまして、彼が私どもの使っていた経営分析手法が面白いというので、インドの製薬会社10社のデータをそれに当てはめて作って見せてくれたのです。

 いつも、「インドにはどんな薬でもあるよ」などと冗談を言っていましたが、「こんなデータ出してもいいの?」と聞きましたら、「上場企業の公表データだから問題ない」とのことでした。

 拝見しますと、規模が大きいだけでなく、その収益率の高さはまさに驚嘆に値するものでした。いくつかの会社で、総額人件費よりも課税前利益の額の方が大きいといった実績が公表されていたのです。  

 その後インドは、ジェネリック薬品の大国だという事は、多く聞くところでしたが、恐らく今回の発表の背後には、そうした中で培った技術・ノーハウのっ蓄積が生きているのでしょう。

  報道によれば、今回接種するワクチンは、イギリスのアストラゼネカと提携する1社と、自国産ワクチンの1社という事ですが、製薬技術とIT技術が、インド流に噛み合った結果でしょうか、速さも、供給能力も、大変なものだとまさに驚嘆です。

 すでにネパールなどへの輸出も進めつつあるという事ですが、モディ首相が強調するように「世界最大のワクチン・プロジェクト」で、政府の力の入れ方の凄さが窺われます。

 先週の国会では、維新の片山氏が、ワクチン国産の重要性を指摘していましたが、現政権は当初から、国民に対しては外国産ワクチンの輸入枠確保についてしか説明していません。
 国産ワクチンの開発について、日本政府として本気で取り組もうという気概を、総理からも、担当大臣からも聞いたことはありません。

 戦後一貫して技術立国、技術大国の目指すと言ってきている日本です。しかし、数字で見れば、この10年、日本の研究開発費はほとんど伸びていません(https://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/4d4fd6af93bfe3f6a21a1a047aac35b1)。
 
 研究開発は一朝にして成るものではありません。不断の人間と資本への投資、長い懐妊期間が必要です。
 残念ながら日本は、その努力に後れを取ってしまったようです。しかも、政府は、それへの反省の心も持ち合わせていないように見えます。

 目先の事にかまけて、バラマキや人気取りといったポピュリズムに陥った如く見える現状の日本の政治の在り方に、日本の将来を任せて日本は何処に行くのでしょうか。

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