tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ハイブリッド車とメタネーション

2023年03月28日 17時11分02秒 | 科学技術
EUは今後の自動車としては電気自動車しか認めないという方針を打ち出していましたが、フォルクスワーゲンなどの意見も入れて、ハイブリッド車も認めるという事にしたというニュースがありました。

早速日本では、トヨタに有利だ、などという意見も聞かれますが。その理由は「メタネーション」技術の進展のようです。

メタネーションというのは、CO2と水素(H2)からメタンガスを合成することで、温暖化の元凶であるCO2を原料にしてメタンガスからガソリンまで作る技術が次第に具体化されてきているからという事のようです。

先日はCO2を食べて蛋白質を作りだす水素菌の事を書きましたが、嫌われ者のCO2が原材料になれば、気候変動問題対策にも、新たな展望が開けます。

炭素は燃えて(酸化して)炭酸ガスになるのが通常の化学反応ですが、炭酸ガスをまた燃料に戻すというのは逆反応で、こういう事に利用するのが「触媒」です。触媒の力を借りて、温度や気圧などを組み合わせて逆反応を起こす技術が進んできているようです。

触媒はコバルトが使われているようで、高価ですが、いかに効率的に活用して逆反応を起こす装置の効率も上げ、安いメタンを創りだすのが勝負なのでしょう。

メタンはCH4 とご記憶の方も多いと思いますが、いわゆるメタン系炭化水素の基本形で、炭素が2つ繋がるとそれを6個の水素が取り巻いてエタンに、3つ繋がると8個の水素が取り巻いてプロパンにと、炭素の数で名前がついて、8つ(オクト)繋がると水素は上と下に8つずつ両端に2つ付いて18個になって、オクタンになり、これが多ければオクタン価が高いガソリンになるようです。

こうしてメタンからe-fuel(合成ガソリン)が出来るようになるから、ハイブリッド車もOK
という事になるという事なのでしょう。

e-fuelを安く作る研究は世界中で競い合っているのが現状ですが、日本も頑張っているようです。

ドイツではBMWで研究が進んでいるといわれますが、日本でもトヨタやエネオスなど6社が組んだ研究、東京ガスや大阪ガスは本業につながる研究ですし、電機メーカーの日立も総合力を生かしてなどな、どしのぎをを削る状態のようです。

中でもIHIはすでにメタネーションの実験、試験運用のための標準化した装置(1時間にメタノール12.5立方米製造)の販売を開始したようです。

電気自動車もバッテリーを大容量にすれば重量がかさむ問題で、航続距離の問題が在りますし、特に寒冷地では暖房に電気を使うと航続距離が短くなる問題があるようで、EV(電気自動車)だけというのは、特に寒冷地では難しいようです。

その点ガソリンエンジン併用であれば、熱源はエンジンの副産物利用ですから容易です。
ハイブリッド車は、航続距離の問題は既に解決済みという事で、冒頭のEUの方針変更も理解できます。

勿論自動車だけではありません。何よりも、CO2が資源になるという意味で、メタネーションは多様な温暖化対策の中で本命とも考えられるものですから、ますますの研究の進展が期待されるところでしょう。

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