tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

実体経済の回復に主眼を

2024年03月12日 13時14分38秒 | 経済

先週金曜日に「証券市場、政策変更先取りのミニ・ショック」を書きましたが、今週に入って、昨日今日も株式市場は急落です。理由は、円高が進んでことでしょう、アメリカで半導体関連が下げたこともあるようですが今日は戻しています。

円高が進んだ理由は先週金曜日にも触れましたように、3月か4月にゼロ金利脱出への動きがある「かも」という情報です。これで日経平均4万円越えはバブルと判断した投機資本が売りに出た(外資系?)といった所でしょか。本当のところは近ぢか解るでしょう。

マネーマーケットとはこういうもの(先を読んで動くもの)なのです。

実体経済面では昨年10-12月期のGDP二次速報で改定があり、実質経済成長率が年率換算-0.4から+0.4%とプラスに変わりました。原因は、法人企業統計季報の10-12月の発表があり、仮置きしてあった「企業設備」が-0.1%から+2%と順調だったからです。

実体経済は、スローペースですが前進を続けている様子です。

来月からの来年度経済については、春闘も集中回答日以前から満額回答とか、要求以上の回答なども織り交ぜ、中小企業でも賃上げの動きは従来よりはっきりと活発になって来ている様で、消費者物価の沈静傾向とも相俟って、実質賃金もマイナスからプラスに転換し、安定して上昇している企業の設備投資(デジタル化、ソフトウエア充実が顕著:日銀「短観」)と賃上げが支える消費需要との投資・消費のバランスのとれた姿を取り戻す可能性が強くなると期待しています。

1月の家計調査:家計収支編は8日に発表されており、これについては明日取り上げるつもりですが、勤労者世帯の平均消費性向は、残念ながら前年比マイナスに落ち込んだようです。マネー経済はいろいろあるかもしれませんが、2024年度には、実体経済は何とか健全性を取り戻す方向に進むのではないかと期待できそうなデータが揃いつつある状況です。

ところで、このプロセスで日本としてやらなければならない事は金融の正常化です。長い円高デフレ時代を脱出するために黒田日銀総裁が、アメリカはFRBのバーナンキ方式に倣って導入したゼロ金利政策は、円高の終了を実現しましたが、その後のアベノミクスの舵取りが、余りに実体経済の理解を欠いていたため、異次元金融緩和という厚手の衣も着せて10年も続いてしましました。

これからのゼロ金利脱出プロセスでは金利上昇は不可避です。異次元の量的緩和も次第に正常化されるでしょう。そのたびにマネーマーケットはガタガタするかもしれません。

しかし、人間はGDPという実体経済で生きているのです。そして今、その発展は地球環境と共生する先端技術の世界的競争の真っ只中で技術開発の成果にかかっています。

これは日本の得意な分野だったのではないでしょうか。マネーマーケットは、それに必要な潤滑油でもあるのです。そして安定した実体経済の成長は、マネーマーケットの盛況を可能にすることにもなるでしょう。

それを永続させるのは「平和」でしょう。人類の知恵が問われていますし、平和憲法を掲げる日本の役割も期待されるのではないでしょうか。

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(訂正)上記「平均消費性向の箇所、1月統計で、前年比マイナスでしたので、その点、前年比プラスの文章を訂正いたしました。不注意を陳謝します。