tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

東京都区部の消費者物価指数実態に近づく

2024年03月05日 14時07分51秒 | 経済

今日、総務省統計局から2月分の東京都区部の消費者物価指数の速報が発表になりました。20日過ぎに発表になる全国指数の先行指標という意味で、特に気になる変化があった時は取り上げていますが、今回も、統計数字上誤解の懸念もあり取り上げました。

消費者物価はこの所、鎮静傾向が顕著で、日銀の植田総裁も金融政策(ゼロ金利脱出)との関連で注視しているところですが、2月の東京都区部の数字の「対前年上昇率」は総合指数で2.6%と1月の1.8%に比し、1ポイント近い上昇となっています。

私自身もまさかと思い、説明を見てみますと、原因は政府のエネルギー補助金のせいでした。

このブログの毎月の消費者物価の分析の時、昨年2月から電力・ガスなどエネルギー部門に政府が補助金をだし輸入エネルギー高騰が消費者を直撃しないようにすることで消費者物価は1ポイント近く下がったことは指摘していました。

それから丁度1年たったので「対前年上昇率」が高くなっていたのです。

「生鮮とエネルギーを除く総合」はエネルギー価格が入っていないので影響はありません。。

昨年2月から「総合」と「生鮮食品を除く総合」については、補助金で電力料金やガス代が下がったっ分だけ指数の対前年同月比は低くなっていました。

今年の2月になりますと、昨年の2月の分は、すでに補助金で下がっていますから、政府の補助金による指数の下落幅は消えて、その分対前年同月の物価上昇率は上がることになるのです。

       都区部「消費者物価指数」の対前年同月上昇率の推移

                 資料:総務省統計局「消費者物価指数」

グラフで見て頂くとよくお解りの様にエネルギー補助金に関係ない「生鮮とエネルギーを除く総合」(緑の線)では、昨年2月の下折れと、今年2月の上折れはありません。(青と赤の線では補助金の影響がはっきりです) 

つまり本来の「対前年」消費者物価指数の上昇率は「総合」と「生鮮を除く総合」の場合、昨年2月から今年の1月まで、補助金の分だけ「1年間だけ」下がるというのが「対前年上昇率」の数字なのです。

そんなことは解っていますと言われる方には不必要な説明をしてしましましたが、消費者物価の鎮静化傾向には変わりないと思っています。

いずれ補助金はなくなるでしょうから、その時は消費者物価そのものが現実に上がります。(そしてその後1年間は「対年同月上昇率」で今回と逆の現象が起きることになります)

グラフで3本の線が収斂して来た事は、物価の沈静傾向、それに物価の動き向が落ちついて来ている事を表していると思っています。