tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2022春闘を占う:新しい動きが出るか?

2022年01月10日 22時35分17秒 | 労働問題
マスコミでもそろそろ春闘関連の記事が出てくるようです。

この所はコロナ問題が常に最大の関心事でしたが、コロナ懸念の中での3回目の春闘ですし、コロナはコロナでワクチン・治療薬で確り対応して、春闘は春闘で、賃金、物価、経済成長、為替など、環境条件も動いて来ている中で、岸田政権の「新しい資本主義」「分配と成長との関係」の実行の場として、何とか具体的進展を欲しいという雰囲気があるのではないでしょうか。

折しも労使ともに新しいリーダーの登場となって政・労・使の3者とも今までにない新たなアプローチが打ち出されるのではないかという気がしないでもありません。

岸田政権が賃上げに積極的なのは発言や賃上げ減税に積極的などといった点に見るところですが、連合の芳野新会長も労働組合が賃上げを要求して獲得しそれを社会全体に波及させたいという主張をお持ちのようです。

注目すべきは経団連の十倉会長が賃上げの必要性を認めていることでしょう。「官製春闘ではない」という発言の中に、経営者として賃上げの必要を認識するという視点が感じられるとも言えそうです。

政府の賃上げ減税は、中小企業の多数を占める利益の出ない企業にはメリットがないので一部に賛否両論があなるようです。

連合は今迄ずっと提唱プラス・ベア(2%)という感じのマンネリ感の拭えない経済合理性追求方式でしたが、今年は新会長の下、何か新機軸が出るのではないでしょうか。

経団連は、例年の「経労委報告」は未だのようですが、賃金問題に言及しているのは十倉会長です。

マスコミの報道から理解できるのは、「日本企業は外国にばかり投資しているが国内に投資しないと経済成長しない、海外からの配当や利息ばかりではだめで、利益が出れば賃金も上げて消費を増やして国内で生産するようにしなければいけない。」

更には「賃金引き上げには生産性を上げなければいけないが、特に中小企業の生産性向上が重要だ。そのために大企業と中小企業の取引価格の適正化が重要で、経団連はその推進に取り組んでいる。」といった発言があるのです。

往々大企業のエゴ組織などと言われる経団連ですが、こうした発言は大筋全くの正論で。連合も政府も納得して政労使合意のもとに日本経済の新たな成長発展に進めそうな感じすらするところです。

経団連が春闘を主導するようになれば、これは石油危機の際に当時の日経連が春闘を主導してインフレ進行を止め、日本経済の安定と繁栄を実現して以来ほぼ半世紀ぶりの日本の経営者の本領発揮になるのですが、さてどうなるでしょうか。

こうした政労使三者の活動にかかわる重要な課題にどう対応するかという問題と同時に、過日このブログで指摘しましたように、円安傾向が続きそうな国際経済、為替問題の気配を指摘する金融関係の専門家もいます。

実はこの問題は、賃金問題に絡む極めて重要な要素ですので、円レートの中・長期的な動きも踏まえ、今春闘は新たな労使関係と金融問題の絡み合った問題として今後十分に注視していく必要があるように思うところです。