tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政府、基礎的収支の均衡目標設定へ

2022年01月13日 21時52分15秒 | 経済
 昨日と今日付けの報道で、岸田政権が財政のプライマリーバランス(基礎的収支)回復の目標を設定しつつあるという動きが入ってきました。

早ければ明日の経済財政諮問会議に試算を提出するという事のようですが、報道によりますと経済成長率を名目3%、実質2%といった所に置き、経済回復による成長の加速で税収が上振れする事も考慮、2026年とされていたプライマリーバランスの回復・黒字化を2025年にも可能とすることも有り得るといったもののようです。

今迄の、安倍・菅政権の下では、財政再建の目標は決めるが、その達成は殆ど考慮されず、期限が近づくと伸ばすといった状態でした。てぃた

確か、安倍さんの口から「財政再建を諦めたわけではありません」なとという言葉が出たり、菅政権は新自由主義経済やMMTを信奉して財政規律は無視ではないかなどとも言われてきましたから、財政問題に伝統的常識が戻ってきたという感じです。

過日、このブログでも、過日、「自民党内の財政政策に2派?」と書きましたが、岸田総理率いる財政健全化のグループが、改めて構想を打ち出したという事でしょうか。

財政健全化は、日本の経済、財政の基本を「長い目で見れば」大事な必要事項と考えるのがこのブログの立場ですが、(「日本の国債が紙屑になる条件」シリーズ等をご参照ください)新政権の新たな財政構想には深甚の関心を持つものです。

しかし、いずれにしても財政健全化は容易なことではないでしょう。
財政再建に直接関連するのは名目経済成長率で、NHKニュースのように、実質経済成長率2%という数字だけ出して名目成長率に触れない報道は不親切ですが、他の報道では名目成長率も3%と出ていて、判断の参考にはなりました。

過去の財務省の試算では財政債権に必要な成長達成ケ-スは名目成長(実質は表示なし)3.2%でそれ以上のケースはないわけで、財務省自体がそれ以上は現実的でないと考えていると思われますが、岸田政権は「新しい資本主義」で3%を標準とし、更に、景気回復による租税弾性値の上昇を見込んで再建可能としているようです。

そのためには多分「新しい資本主義」の中身「分配と成長」の具体的な内容が見えてこなければならないのですが、この辺りが、政府の手で行われる税制などによる再分配か(消費税増税は考えないようです)、民間労使による労使交渉の結果や、賃金制度、雇用改革(非正規労働者問題)などの効果を見込むのかも重要な関心事項でしょう。

更には、これまで全く論じられていない問題ですが、「家計における分配行動」、つまり「可処分所得の消費と貯蓄への分配」、統計的には平均消費性向についての政策についての岸田政権の新機軸(何かあるだろうと思いますが)の説明がほしい所です。

経済財政諮問会議への提出資料、岸田総理の説明などについての報道が待たれます。