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4~6月GDP速報、構造変化の兆し?

2019年08月09日 21時38分53秒 | 経済
4~6月GDP速報、構造変化の兆し?
 2019年4~6月の総務省からGDPの第一次速報が発表になりました。マスコミの見出しは年率1.8%(実質)の成長で、3四半期連続のプラスということです。

 過去の動きを見てみますと、昨年7~9月期が落ち込んでいてこれから景気減速かなと思われましたが、10~12月期は微かな改善、今年の1~3月から持ち直すといった状況です。
 これからどうなるかは米中問題の深刻化如何ですが、日本経済としては、何か少し構造変化が起きるのではないかといった兆候のようにも感じられ、外部環境が良くない中でも今後は要注目のような気もします。

 このブログでは短期の変化よりも少し長めの動きを見た方がいいのではないかという立場から、季節調整をしない原系列数字で各4半期の対前年同期比の変化を見るようにしています。

 支出面から見たGDP の項目は「家計消費」「民間住宅」「企業設備」それに「公的(政府)需要」最後に「貿易収支」ということになりますが、これらについて、最近5四半期の動きを見てみると下のようです。

 順番は2018年:4ー6月期、7~9月期、10~12月期 2019年:1~3月期、4~6月期で、数字は対前年同期比伸び率(%)です。
国内総生産(GDP)  1.5  0.1  0.3  1.0  1.2
家計最終消費支出  0.0  0.5  0.4  0.6  1.0
民間住宅     -9.0 -6.6 -2.3  0.7  2.9
民間企業設備    6.6  1.1  3.9  2.8  2.4
公的(政府)需要  ー0.1 -0.3 -0.3  0.1  1.5
純輸出       0.5 -0.2 -0.5 -0.2  NA

 一番右が4-6月期ですが、この4~6月期の成長率には民間住宅と政府需要が1.2%のうち0.5%分を占めていますので、いわばそれらによって押し上げられた分が大きいことが解ります。

一方、GDPの基本を担う消費と投資の動きを見ますと、消費を代表する家計消費支出、投資を代表する民間企業設備の動きを見ていきますと、家計消費の動きに何か傾向的な変化がみられるように感じられないでしょうか。

昨年4~6月期の0.0から、今年の4~6月期の1.0まで、次第に上昇してきているように見えます。
毎月チェックしている勤労者所帯の平均所得性向では前年比低下の月が多いもののトータルの消費支出は、小幅ですが着実に増加幅を広げているのです。

これが一時的のものか、日本人の消費に対する意識が変わってきたのか、俄かには判断できませんが、投資片肺型の経済成長から消費・投資のバランスのとれた経済構造への動きに向かうものであれば、今後の日本経済は過少消費による低迷から脱出する可能性も出てくるわけです。
 今後さらなる追跡が重要になるような気がします。