tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

難民問題、素直(すなお)に考えてみれば

2019年08月16日 21時40分47秒 | 国際政治
難民問題、素直(すなお)に考えてみれば
 昨日は終戦記念日。日本では、「不戦の74年を令和の時代にも変わらずに続けていきたい」という願いが、戦争経験を持つ人、経験はなくても戦争の不条理を理解した人達から強く聞かれました。

 確かに1945年夏以来、日本は不戦の時代を過ごして来ました。国民はそれぞれにいろいろな問題を抱えながらも、不戦の世の中の有難さを実感して来たのでしょう。

 しかし、世界を見れば、内戦などで住むところを失い(勿論、命さえ失う人も少なくない現実です)、戦のない所を求めてさ迷う人たちが急激に増えているのが現状です。

 その点、日本は幸せだと思うからこそ難民支援のプロジェクトに協力する人も多くおられるのでしょう。(私も最低限の協力はしていますが)

 国連には「難民高等弁務官事務所(UNHCR)」という組織があり、日本には駐日事務所もあり、それに協力する「日本UNHCR協会」があり、広報活動や募金活動などが活発に行われているようです。

 かつては日本の女性がこの国連組織のトップを務めておられ、高い評価を得ていたことをご存知の方も多いでしょう。
 こうした貴い活動があっての国連の評価ですが、大変気になるのは、
「難民を救う活動は貴重ですが、難民を出さないための活動を国連はどう展開しているのか」という問題です。

 国連の中枢機関は「国連安全保障理事会」、通称「安保理」です。これは国連常任理事国5か国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国(第二次大戦の戦勝国)の首脳で構成されています。
 これは本来、その名の通り「世界の安全を保証する」役割を持つ組織でしょう。

 ですが、この組織は、その役割を果たしているのでしょうか。現実には、何らかの理由をつけて外国に侵攻する常任理事国もあれば、内戦が行われている国があると、内戦の各側に安全保障理事会構成国が自国の利害や面子から援助して内戦をより熾烈なものにしてしまうといったことが起きているのです。
(関ヶ原の東西両軍に、それぞれ外国の支援が付いたらどうなっていたでしょうか)

 安全保障理事会メンバーは、その組織の役割をどう考えているのでしょう。国連というのは世界の平和と繁栄を目指す組織です。その中枢機関のメンバーが、現に難民の発生を促進するような行動をし、同じ国連の組織であるUNHCRに対策を何とかしろというのが現実の姿なのです。

 先入観なしに素直に考えてみれば、安全保障理事会常任理事国は。世界の平和と安全に常に最大の配慮をし、自国の利益よりも、世界に発生する問題のトラブルシューターとしての役割を果たすことを誇りをもって遂行することに邁進すべきでしょう。

 公害問題では「汚染は元から絶て」と言われましたが、難民問題も、元から絶つことを考えるのが国連常任理事会の役割だと考えるべきではないでしょうか。

 それが出来ないのであれば、「安保理」という名称に馴染みません。もしかしたら、安保理の組織も含めて、国連の在り方の本質論を、世界に問うことが必要な時代になっているのかもしれません。