tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

為替操作国とは何か

2019年08月08日 18時05分28秒 | 経済
為替操作国とは何か
 今月5日、トランプ大統領が、お得意のツイッターで「中国は為替操作国だと」書いたことが報道されました。そして即日アメリカ財務所は、中国は為替操作国であると指定しました。

 詳しい調査の結果そう断定したのだそうですが、それはアメリカ・スタンダードでの話で、中国は否定しています。

 客観情勢からみれば、アメリカの多くの企業は中国に生産拠点を移し、アメリカの製造業が空洞化し、アメリカの対中貿易の赤字幅が拡大して、アメリカは困惑、打開策として関税上乗せで輸入を減らし、貿易赤字削減を図って、中国との関税合戦になりました。

 結果、アメリカも返り血を浴び、トランプさんご自慢の経済成長と雇用の増加に蔭が差し、慌ててFRBに圧力をかけて金利引き下げを実現し、その結果ドル安が進行することになりました。

 ドル安になりますと、日本は円高になりますし、中国は人民元高になります。中国は関税を上乗せされた上に人民元高ではどうにもならないので、人民元高対策を講じるのは経済政策上の必然ということにもなります。

 日本は、日銀が、円高になるようなら適切な対応策を取ると口先介入だけで、1$=105円になっても我慢していますが、中国は人民元高が習近平体制を脅かすことも考え、対抗策に出たのでしょうか、2~3%の人民元安になりました。
 そこで、アメリカは、人民元安にするのは怪しからんということで、中国を為替操作国に指定することになったわけです。

 かつては日本も為替操作国予備軍に指定されたこともありますが、歴史を見れば、円高は日本経済に致命的ですから、明日は我が身ということになるかもしれません。

 所で、アメリカ以外の国からか考えてみれば、こうした問題が起きるのは、もともとアメリカ経済が双子の赤字を垂れ流しながら、自国経済の健全化よりも相手国の黒字がけしからんということに発しているのです。
 世界一の経済規模を持つアメリカが、己を持し、赤字が出ないような経済運営を心がければ、関税戦争も、為替合戦も起きないで、世界経済は安定して繁栄を続けられるのではないでしょうか。

 アメリカ以外の国から言わせれば、トランプさんがツイッターでな何を言うかで為替レートは忽ちにして動き、その結果、何らかの対策が必要になり、我慢して新しいレートに合うような体質改善の努力をするか、為替介入などで逃れるか、その2つをどう使い分けるか迷わなければならないという事でしょう。

 見方によっては、トランプさんのツイッターこそが、最強の為替操作だということになるのではないでしょうか。