tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日米交渉:やっぱり出てきた為替条項

2019年04月26日 14時49分24秒 | 国際経済
日米交渉:やっぱり出てきた為替条項
日米貿易交渉、実際には、日米FTA交渉として、今後時間をかけて着地点を探さなければならない交渉でしょうが、やっぱり、アメリカご執心の為替条項が出てきました。

 為替条項というのは、ひと口で言ってしまえば、国際競争力で「自国が有利になるように為替レートを操作してはいけない」ということでしょう。

 もちろんそんなことを認めたら、一生懸命生産性を上げて自国経済を健全なものにしていこうなどという建設的な努力は必要なくなります。
 生産性を5%上げる代わりに自国通貨を5%切り下げれば、即座に生産性の5%向上と同じ国際競争力上の効果が得られるからです。

 かつて、こうした経済戦略は「為替ダンピング」などと言われ、「近隣窮乏化政策」などとも言われて、世界経済の健全な発展を阻害したという苦い経験から、第二次世界大戦後の、いわゆるパックス・アメリカーナの中では、アメリカ主導で「ブレトンウッヅ」体制のもと『固定相場制』が採用されたわけです。

 これは大成功で、みんな国際競争力をつけようと生産性を上げ、1960年代までは、世界経済は順調に成長し、世界経済は最も順調な時代とみられています。

 ですから、為替レートを意図的に動かして国際競争力上有利な立場に立とうとするといったことは当然望ましい事ではないといいうことになるわけです。
 ならば為替条項を貿易交渉の中に位置づけようというのはまさに「正論」で、それを拒否することは何か「よこしま」な意図を持っているということになるはずです。

 今回の日米交渉の中では、アメリカが為替条項を持ち出し、日本は麻生さんが、貿易問題と為替問題は性格が違うものだから、一緒に論議すべきでないという立場で、為替条項についての議論を拒否しているという状況です。

 では、日本はなにか「よこしま」な意図を持っていて、為替条項の議論を拒否しようとしているのでしょうか。

 こう見てきますと、皆様には、「日本が拒否しているのは「よこしま」な考えがあるからではない」「アメリカの行動を警戒しているからだろう」というご理解を頂けると思っていますが、今後の展開次第では予断を許しません。

 この問題については、このブログでは、可能性、実現性は「別」として、理論的には、アメリカの好きな2国間交渉の中で、「日米固定相場制」はどうですかと提案していますが、どうでしょうか。

この辺りは、確りと今後の日米交渉の行方を見守り、何が本筋か、本当の解決策はなにかを、じっくり考えていく必要があるように思っています。