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混迷する消費税論議:戦術より本質を

2019年04月19日 12時16分50秒 | 政治
混迷する消費税論議:戦術より本質を
 安倍総理の側近といわれる萩生田自民党副幹事長の「消費税増税への疑念」の唐突な表明で、また消費増税問題がごたごたするのでしょうか。

 官房長官が否定していますから、現状ではそちらが正確という事でしょうし、一人の自民党副幹事長が勝手に言ったのなら大した問題にもならないでしょうが、萩生田氏が安倍側近という事でマスコミの反応は大きいようです。
 萩生田氏は、日銀短観の景況感の低下を引き合いに出していますが、日銀短観では企業は今年後半については 強気な計画を持っています。

 しかも、消費増税延期に加えて、解散総選挙の問題も提起しているという事から見れば、多くの人は、安倍さんが参院選を意識し、「自分では言えないことを言わせて、世論の反響を見た」などと勘繰るのは当然でしょう。

 ここでは、そうした政治的配慮を論じることはしませんが、問題は、消費税増税、官民分配率の変更という日本経済・社会の在り方の「長期的、基本的問題」を、ごく短期な景気の落ち込みにかこつけて、だしに使うようなことは本来やるべきでないし、また選挙戦略と消費増税は、話の筋が違うことを明確にすべきだといいたいと思います。

 萩生田発言に触発されたのか、野党からは、改めて消費増税はやるべきでないといった意見も出たりしているようですが、困ったことです。

 消費増税は、財政健全化という基本的な目標とともに、税と社会保障の一体改革で、増税分はすべて社会保障の充実に使い、日本経済の福祉的部分をそれだけ増し、 社会的格差の縮小を通じて、日本経済の健全な成長を確保するためのものだったはずです。

 これは与党・野党を問わず、これまでの政策論議の積み重ねの中で、国民の賛同を得てきた政策の基本的大方針ではなかったでしょうか。

 諸費増税分をすべて社会保障の充実に充てれば、それは自動的に低所得層の生活の安定や支出の増加につながり、増税分と国民の支出はチャラで、 理論的には消費増税が景気に悪影響を与えることはあり得ないという理屈も成り立つのです。

 今回の消費増税の中身が、軽減税率も含めて 合理的な物とはとても言えませんが、それでも長い目で見れば、日本経済の健全方向への力付けになることは明らかでしょう。

 政府・自民党が何を考えているかは解りませんが、政治の本義と末節とを混同することは避けるべきと思う人は多いのではないでしょうか。