tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費物価指数は安定、中身を見ると結構面白い

2019年01月19日 22時24分49秒 | 経済
消費物価指数は安定、中身を見ると結構面白い
 一昨日、2018年12月の分の消費者物価が発表になりました。家計にとっては有難い事に、あまり上がっていません。前年同月比で0.3%の上昇です。
 総合0.3%、生鮮食品を除く総合0.7%、生鮮食品とエネルギーを除く総合0.3%です。

ここから分かることは、12月は、生鮮食品が上昇率をうんと押し下げたこと(2017年の12月は生鮮食品高騰、2018年12月は安かった)、エネルギー価格は平均並みの動きだったという事でしょう。

 年間平均の動きを見ますと、2016年は-0.1%、2017年0.5%、2018年1.0%とだんだん上がっているように見えます。
 しかし、上がり下がりの大きい生鮮食料品、エネルギーを除くと、この3年間は0.6%、0.1%、0.4%の上昇で、基調的な物価上昇は政府・日銀の2%目標には全然届きません。
 日銀は仕方なく(?)昨日今年以降の物価上昇率の予想を引き下げています。

 そんな状況の内部を、グラフで見ると結構面白いので見てみたいと思います。
消費者物価指数、総合、生鮮食品、エネルギーの動き(2017年~2018年

 まずここ2に年間の総合物価と生鮮食料品、エネルギー価格の動きを月次で見てみます。(基準は2015年平均=100、グラフの数字は指数から100を引いたものですから、2015年平均に比べてその月は何%上がっているかを示しています。)
 青線の総合は微かな上昇傾向、緑線のエネルギーは顕著な上昇傾向、赤線の生鮮食品は乱高下ですが、安い時は総合の所に戻ってきます。

 生鮮食品はご覧の様に天候などで乱高下しますし、エネルギー価格は世界情勢などで動きますので(この2年はほぼ上昇基調)、これらに影響されない物価の基調的な動向ということで、「生鮮食品とエネルギを除いた総合」が、インフレ目標などの政策に使われるわけです。

 ところで、消費者物価指数はウェイト合計が10000で、その内、食品のウェイトが2623で中分類中最大です(家計が月に1万円使うとすれば、そのうち2623円が食費=エンゲル係数に当たる=という意味です)。その中で、生鮮食品のウェイトは414、因みにエネルギーのウェイトは784です。

 そこで、家計にとっては毎日食べる各種食品の価格の動きが一番身近ですが、ついでにその食品の中をちょっと見てみましょう。
消費者物価指数、菓子、調理食品、外食の動き(2017~2018)


 毎日という意味で、お総菜などの調理食品、菓子、外食について同じように指数の動きを見てみますと、菓子類は割合変化が大きく、調理食品は生鮮食品を材料にするものも多いかと思いますが割合安定、最も安定しているのは外食です。

 菓子類と調理食品は、昨年1月前後と夏から秋にかけての生鮮食品の高騰の影響を受けていることが多少とも窺われますが、外食の動きは殆どブレずにゆっくりとした安定上昇です。こうした動きの違いの理由の検討も面白いかもしれません。

 ところでこうした動き、新聞の折り込みチラシに敏感な家計の感覚とうまく合致しているでしょうか。