tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

毎月勤労統計問題を整理すると

2019年01月10日 17時53分43秒 | 労働
毎月勤労統計問題を整理すると
 先日、毎月勤労統計(毎勤)のサンプリングの問題について取り上げましたが、その後波紋が大きくなって、2つの問題がごっちゃにされて論じられたりしていたりするので、整理しておいた方がいいように思います。

 1つはサンプリングの手抜き(東京都、500人以上規模の事業所の全数調査がサンプリング(抽出)調査でやられていた問題で、平成5年辺りから等と報道されています。
 もう1つは、平成30年からのサンプリング(抽出の仕方)の問題で、これは、一昨年と昨年の賃金額・賃金上昇率にサンプリング誤差が出るという問題です。

 前者は、現実にどのような影響が出るかの検証は、比較するデータがありませんから、多分不可能でしょう。

 後者は、比較データが発表されていますから、検討可能です。安倍総理の希望に沿うように賃金上昇率を高く出そうとしてやったなどとの見方もあるようですが、世界に冠たる正確性を自認する日本政府統計担当者が、そんな忖度はしないと信じています。

 厚労省の発表によれば、第Ⅰ種事業所(30人以上規模)は3年毎の全サンプル入れ替えからローテーション・サンプリング(毎年1/3づつ入れ替える)への移行期にあり、平成30年からサンプルの半分に1年延長が始まった、という事です。

 そこで、統計の連続性を見るために延長した事業所(共通事業所)だけの統計もとっていて、公表された統計と比較ができるようにしているのですが、厚労省の数字によれば、共通事業所あの賃金水準の方が「きまって支給する給与(残業代含む)」で月額2600円ほど高くなっています。

 つまり新サンプルを含む公表の数字がそれだけ低いという事は新サンプルの企業の賃金はもっと低いという事になります。
 ところが、所定内給与、きまって支給する給与の対前年同月上昇率を見ますと、 このブログでも指摘しましたように、平成30年1月以降明らかに共通事業所の上昇率(厚労省の数字あり)より高いという結果になっています。

 つまり、賃金の低い新サンプルを入れた結果、賃金水準の上昇率が高くなったという結果になっていまったわけです。
 厚労省の解説を見れば解るはずと書いてきた結果が、思わしくありません。申し訳ありまあせんが、もう少し考えてみますのでお時間をいただきたいとぞんじます。