tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

GMリストラ発表、トランプ大統領いよいよ支離滅裂

2018年11月27日 17時59分02秒 | 経営
GMリストラ発表、トランプ大統領いよいよ支離滅裂
 アメリカは何処へ行くのでしょう。益々心配になってきました。
 アメリカの象徴でもあるGM(ゼネラル・モーターズ)が2019年末までに、北米5工場を閉鎖、ホワイトカラー、ブルーカラーを含めて14,000人を削減する方針を発表しました。(韓国の群山工場も閉鎖のようです)

 現状、労組との話し合いで1シフトで稼働率が生産能力を大幅に下回る工場などが中心のようですが、背後には北米での販売台数の減少もあり、今後は電気自動車、AIの活用、自動運転車などの先端分野に注力するとのことです。

 自動車産業としては当然の事なのでしょう。バーラCEOは、「企業として体力のあるうちに手を打たなければならない」といっていますがこれも当然です。
 アメリカの場合、従業員を再訓練して新しい仕事に就けるといった日本的な雇用慣行はないので、従来の仕事がなくなれば、その部門の従業員はレイオフという事になるのでしょう。
 
 こうしたGMの動きにトランプ大統領は大いに不満です。即座に「不快である」と表明し、バーラCEOにその不満を伝えたとのことです。
 勿論不満を伝えてだけではなく、アメリカ国内に新たに工場を作るべきだ、オハイオ州(選挙の激戦区)に帰って来るべきだという要請をし、閉鎖するなら中国の工場を閉鎖すべきだという意見を伝えたようです。

 国内投資と雇用の増加をいわば生命線とするトランプ大統領ですから、GMの今回の方針はまさに逆鱗に触れるところでしょう。

 しかしGMの現実は、生産台数が伸びているのは中国と南米で、北米、ヨーロッパでは減少で、特にヨーロッパは良くないようです。
 いかに大統領といえども、販売の伸びている国の工場を閉鎖し、伸びていない国内に工場を作れと民間企業に言うのはいかがなものでしょうか。

 GMの決断は、アメリカを代表してきた企業として、サバイバルをかけての経営の意思決定によるものでしょう。
 誰が見ても、(トランプさんには都合が悪いかもしれませんが)GMの選択の方が正しいという事ではないでしょうか。

 トランプさんも、中間選挙の結果が不本意なものだったこともあり、いろいろと焦っているのかもしれませんが、考え方や発言が、一層支離滅裂になり、「アメリカを再び偉大な国に」という目標から、益々逸脱して行くことになりそうです。
 いったいアメリカは何処に行こうというのでしょうか。心配です。