tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本銀行のB/S膨張、GDPを上回る規模に

2018年11月14日 14時51分16秒 | 経済
日本銀行のB/S膨張、GDPを上回る規模に
 日本銀行は「営業毎旬報告」を出しています。私も初めてネットで拝見しましたが、日本銀行のB/Sが出ていました。

 資産の部を見ますと上から(単位:千円)
・金地金  441,253,409
・現金   279,490,480
・国債 469,140,954,249
などとなっていて資産合計は、553,592,278,459(千円)、つまり553兆円です。
 
 負債および純資産の部を見ますと
・発行日銀券 104,907,365,564
・当座預金  391,936,075,924
・資本金       100,000
・準備金    3,222,672,796
などとなっていて合計は資産合計と同じです。(注:銀行簿記ですから当座預金は市中の銀行から預かっている分で負債になります)

 結局日銀の、B/Sのほとんどの部分は、市中銀行などから買い上げた国債で、その対価のかなりの部分が銀行からの当座預金として、日銀に預けられているという構図です。

 ところで何故こんな数字を見ることになったかといいますと、今朝の某紙に日銀のB/Sの規模がGDPを越えたという記事があったからです。
 日本のGDPは平成29年度の政府の実績見込みによれば550.3兆円ですからこれより3兆円余多くなっています。30年度の政府見通しは564兆円ですから、「追いかけっこ」という所でしょうか。

 日銀のB/S がGDPより大きくなっても、特別な意味があるわけではありませんが、記事が示唆するのは、つまりは政府の国債発行を支えるために日銀が市中の国債を買い上げ、銀行に新発債を買う資金を供給しているという事なのでしょう。
 日銀が市中の銀行から国債を買い上げて支払ったお金が、日銀に当座預金として還流しているのでしょうか。

 10年前の平成20年末の数字を見ますと資産の部の国債は63兆円、負債の部の当座預金は15兆円ですから、国債の増加と当座預金の増加が両建てになっていることが解ります。
 このうちどのくらいにマイナス金利(-0.1%)がついているのか解りませんが、それでも本来市中に貸し出されると想定したおカネが活用されずに、(マイナス金利)の日銀に還流しているというのは、見込み違でもあり異常です。

 改めて端的に数字で見れば、日銀の国債保有がこの10年間に63兆円から469兆円に増え、日銀の当座預金残高が15兆円から391兆円になっているというのは(書きながら私も信じられない気持ちですが)、経済政策(アベノミクス)が所期の効果を上げていない事の証左のように思われます。

 これだけ市中にカネをばらまいても、企業も、家計もお金を使わずに、余ったおカネは日銀に還流し、マイナス金利で銀行は(金を預かっても、預けても金利を取られ)四苦八苦、道を誤る銀行まで出現するというのが現状という事でしょうか。

 財政・金融政策が、効果を示さないというのは、「全く別の原因」があるからでしょう。
 見当違いの政策を取っても、効果のないことを実証する結果の数字のように思われますが、如何でしょうか。