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黒田日銀総裁、金融緩和長期化の副作用に言及

2018年11月06日 11時51分21秒 | 経済
黒田日銀総裁、金融緩和長期化の副作用に言及
 日本銀行の黒田総裁は、昨日名古屋で講演し、(異次元)金融緩和の長期化が金融システム、銀行経営に与える副作用について(たぶん初めて)言及されたようです。

 金融経済懇談会での講演ですが、経済情勢、物価情勢、日銀の政策運営について話しておられます。
 経済情勢については、世界的な不安定要因はあるが、日本経済は底堅い推移を示すといった見通しのようです。
 物価については、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」の上昇率がいまだに0%台半ばという点は認識していられ、2%までには大変という認識はお持ちのようです。しかし2%目標は目指す姿勢とのことです。

 最も肝心な日銀の政策運営については、従来は、(テレビでは)いつもにこにこしながら「物価が2%になるまで、異次元金融緩和は続けます」という姿勢の発言でしたが、今回は少し違うようで、金融システムの不安定化、金融機関の収益の下押しが長期化することへの危機感に言及しています。
 
 (勿論)今迄の金融政策について国債の金利政策の(微妙な)柔軟化も含めて、適切に機能しているという認識を示しながら、「金融緩和の継続が、貸出利鞘の縮小などによる収益力低下を通じて、金融機関の経営体力に累積的な影響を及ぼし、金融システムの安定性や金融仲介機能に影響を与える可能性があることは十分に認識しています」と述べています。

 地方銀行などで種々の問題が起きているように、銀行の現場では、特に地方銀行などは四苦八苦というのが現状のようですが、日銀は、そうした金融機関の総元締めですから状況は良く解っているはずで、黒田さんも講演の後の記者会見では銀行が本来の預貸業務で利益が出ないので、有価証券投資やその他リスクの大きい物への投資で益出しをしようというのは、万一何かあった時大変なことになるという認識を示したようです。

 という事になれば、当然金融の正常化、具体的には金利水準の引き上げに言及という順序になるわけですが、その点では、「日銀の金融緩和がさらに5年、10年、15年といった長期にわたって続くとは思わない」との発言とのことです。

 問題が起きていることは十分に認識しておられるのでしょうが、具体的に金融の正常化、金利の引き上げについては、5年10年15年といった大変曖昧な表現になっているところに、何か違和感を感じるのは私だけではないでしょう。

 2%インフレ目標についても、黒田さんは「すでに物価が持続的に下落するデフレ状態ではない」と講演の中で述べていますから、安倍さんの「デフレ脱却を確実にしたい」という認識とは違っています。

 安倍さんの発言は政治的な発言、黒田さんの発言は経済分析の結果という事でしょうが、何か違和感を感じる背景には、この食い違いがあるように感じてしまったりします。

 政府の意向で国債を多量に買わされている日銀、バランスシート調整は出来ればしたいでしょうし、金利を正常化しなければならないと思いながら、財政の金利負担を考えれば容易に動けない日銀という立場でしょうか。
安倍さんや麻生さんがこれに対してどうコメントするかしないか知りませんが、日本でも、トランプさんとパウエルさんの様な事になるのでしょうか。何か余計な心配をしていしまいます。

さて、今日はアメリカの中間選挙ですね。明朝起きると結果が出ているのでしょうか。どんな結果が・・・。