tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ラーメン日高屋の日本型労組結成

2018年11月21日 12時02分43秒 | 労働
ラーメン日高屋の日本型労組結成
 今日、新聞で中華料理・ラーメンの味を誇る日高屋(株式会社ハイディ日高)で、「ハイディ日高労働組合」が結成されたという記事を見ました。
 記事の内容、その名称から見ると企業別労働組合だと思いますが、すでに「UAゼンセン」に承認されて連合の傘下に入っているとのことです。

 日高屋は400の店舗を首都圏に展開していますが、従業員数は9000人で、その内3割が外国人労働者、9割近くが非正規従業員という事です。

 非正規従業員が合同労組などに加盟するというのは多ですが、こうした非正規従業員の多い企業で企業別労組が出来るというのは珍しいのではないでしょうか。
 記事によれば、企業側、労組側双方に取材しているようなので、企業側も、それなりに(あるいは歓迎して?)認めての企業内労組の設立という事でしょう。
 この労働組合の活動が今後成功していけば、日本の企業別労使関係に新しいものが生まれるような気がするところです。

 ご承知のように労働組合を企業別に組織しているのは世界でも、日本とバングラデシュぐらいでしょう。
 もともとヨーロッパでの労働組合の発祥は職能別組織で、産業別組織が出来ても、基本は「どの企業でも同じ仕事をしていれば同じ賃金」、つまり同一労働同一賃金などの権利をを確保し、その向上を狙うためのものでした。

 日本の様な企業別の労働組合では、当然企業別に賃金水準は違います。日本では非正規従業員を除いて賃金体系・水準は企業別に決まっています。
 非正規従業員のパートなどは、日本でも地域別のマーケットが出来ていて、地域別、仕事別の企業横断賃金になっています。

 ところが、 政府の決めた「同一労働同一賃金」は、企業の中の問題で、「その企業の中で同じ仕事をしていれば同じ賃金」という事です。

 今後日高屋で、従業員がやる気を出して、業績が上がれば、その分「うちは業績がいいから時給がよそより高い」という事も可能になるのでしょう。
 これを「同一労働・同一賃金」というのが日本の法律ですから、企業別労組の設立が、どんな結果をもたらすかには大変興味があります。

 そのほか、賃金以外の福利厚生、などについても、企業内の労使交渉で、日高屋独自のものが決められることになりそうです。
 日本的な技能を身につけるだけでなく、日本的な仕事の仕方、日本的な職場の在り方、(人間関係)、そして日本的労使関係、さらには日本的経営など、外国人労働者が、この面から日本文化の一面を知り、その評価をすることにつながるかもしれません。

 UAゼンセンは以前から、多様な労働組合を組織し包括するのが得意ですが、日本的労使関係に興味を持つ私は、日高屋の労使関係に興味津々です。