tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

統計調査の重要性の再認識を

2018年02月25日 16時30分33秒 | 労働
統計調査の重要性の再認識を
 裁量労働制を採ると、労働時間は長くなるのか、短くなるのかどちらでしょう。この問題は個人によって、全く違うでしょう。
 特に問題が無ければ早く切り上げて済まそうというタイプの人と、じっくり形できちんと詰めるところを詰めて「良い仕事をしてくれた」と後世いわれるような仕事をする人とでは結果は全く違うかもしれません。

 さて、どちらが企業にとって、顧客にとって、社会にとっていいのか、これは仕事の種類にもよるでしょう。単純ではないような気がします。単に労働時間が短くなることが「良い結果」といったことで済むのでしょうか。

 これは本質論かもしれませんが、今回国会で問題になっているのは、短くなることが良いことという前提で、しかも「統計」という社会問題の判断の基準になるべき大事なものを極めて杜撰に扱ったという思慮の浅さが根底にある問題のような気がします。

 今、日本経済にとって高齢化問題は極めて重要です。この議論がきちんと進められるのは、「国勢調査」「人口動態統計」といった統計が十分な正確さを持っていると誰もが認めるからでしょう。

 インフレ目標2%というのも、消費者物価統計がいい加減だったら、議論になりません。統計への信頼があって初めて可能になる議論です。

 ですから、国には「統計法」があり重要な統計は基幹統計(旧指定統計)、承認統計として厳密な設計基準によって信頼性が確保されているのです。

 今回問題になっているのは「業務統計」です。これは必ずしも統計法の適用を受けない統計で、政府関係機関が業務上得た資料を集計し、便宜的に利用するために発表しているものです。
 安倍さんがよく使う「有効求人倍率」も「職安業務統計」です。単に、提出された求人票と求職票を集計し、発表すれば、何らかの参考にはなるだろうというものです。

 5人必要な所を10人と書いて出しても罰則はありません、正式に設計された統計ではないのです。今国会で問題になっている「労働時間等総合実態調査」も業務統計です。

 法律を制定する際の根拠になるような統計データは、最高の正確性を持っていなければならないでしょう。統計の設計の段階からきちんとした正確性を担保することに欠ける「業務統計」などを安易に利用するという事自体が、統計情報に対する認識の不足の結果ではないのでしょうか。
 大事な事に利用しようとすればするほど、統計の正確性、統計への信頼性が大事です。正確な統計は国の宝であり、また国際的信用の基本でもあります。