tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

もう少し頑張りたい、4~6月GDP速報

2015年08月19日 10時28分01秒 | 経済
もう少し頑張りたい、4~6月GDP速報
 昨8月17日、内閣府から今年4~6月のGDP速報が発表になりました。実質成長率は前期比マイナス0.4パーセント。年率換算マイナス1.6パーセントということで、これだけ見ると足踏みというより半歩後退といった感じですが、政府や日銀もシンクタンクなども、これまでの経済見通しは基本的には変えていない様です。

 この統計は季節調整済みですが、四半期別のデータは、その時の短期的な事情で、変化することもありますから、出来れば、短期変動より、長期的な趨勢を見て判断するのがいい様に思います。

 趨勢を見る最も一般的なのは、対前年同期比の数字です。去年の同じ時期に比べて上がっているのか下がっていうのかという数字です。
 この4~6月の名目GDPの対前年同期比較は2.2パーセント増で、昨年の4~6月の対前年同期比1.8パーセント増より少し良くなっています。実質値は0.7パーセントで前年4~6月の-0.4より大幅改善です。消費増税の影響が消えたからです。

 ということで、まあまあ順調と言えないことはないのですが、残念な点が幾つかあります。(以下の数字はすべて対前年同期比の名目値です)

 まず、国内需要が0.6パーセントしか増えていないことです。しかもそのうちの民間需要は0.4パーセント、さらに民間消費支出は0.0、家計最終消費は-0.0(マイナスで四捨五入でゼロ)パーセントです。

 民間企業設備が3.9%増と健闘していますが、民間住宅投資の減などが足を引っ張り民間需要は結局、上記の0.4パーセントしか増えていません。

 成長率(GDP増加)を押し上げているのは、公的需要1.4パーセントと純輸出(財・サービスの輸出入の差、)の6.6パーセントの増です。 
 国内総生産の前年同期比2.2パーセント増はまあまあですが、その2.2を寄与度でみると、民間消費はゼロ、民間投資が0.2、政府支出が0.4、純輸出が1.6で合計2.2、民間消費の不振が目立ちます。

 だから賃上げが必要という意見もあるでしょう。しかし、いつも書きますように、キリギリス型のアメリカに対し、アリ型の日本人です。将来不安があると消費を切り詰め貯蓄に回してしまいます。
 日本の家計は国際的に見ても、カネが無いわけではありません。国民の不安をなくす政府の政策づくり、企業の魅力ある商品・サービス創造、そしてより快適な未来を目指す国民生活の積極化で、もう少しエネルギッシュな日本経済にしたいものです。