tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

難民問題、もう一つの視点

2015年08月31日 09時51分50秒 | 国際政治
難民問題、もう一つの視点
 最近のヨーロッパを目指す難民の報道には、心が痛みます。誰しも生れ故郷を捨てようというのは、まさに究極の決断でしょう。それを利用して暴利をむさぼる闇の手配師、輸送手段は最悪の無責任レベル。船の沈没も含め、考えられないような多様な形で、多くの犠牲者が出ています。

 受け入れる方もまた大変です。日本の難民認定の厳しさは世界に知れ渡っているようですが、ヨーロッパ諸国は比較的寛容といわれ、特にドイツを目指す人が多いようです。
 しかし現実には地理的に最も近いイタリアやギリシャが先ず対応に音を上げ、ドイツももう限度といった様相です。

 こうした難民問題については、論じられるのは常に受入れの問題ばかりですが、難民発生の原因についての本格的な論議をすることが、矢張り人類社会としては必要なのではないでしょうか。

 難民が大量に発生する時というのは、大抵、国そのものが崩壊に瀕している場合のように思われます。そうした状態になるまでには、それこそいろいろな事情があるのでしょう。
 しかし、今日では、政争にしても紛争にしても、ある程度以上成熟した豊かな国では、殆どそういう例はないのではないでしょうか。

 すべてが経済的なものということは勿論出来ないでしょう。しかし中国には「倉廩満ちて礼節を知る」と言う諺もあり、日本では「金持ちケンカせず」と言います。
 少なくとも、国民が共に、ある程度の豊かさを享受しているとか、将来豊かになっていくという期待を感じられるときには「国家の崩壊」を齎すようなことは起きにくいのではないでしょうか。

 かつてアンクタッドなどの活動が活発で、フランスのイニシアティブで先進国は途上国にGNPの1パーセントを援助しようと提唱し、日本でも池田首相が積極的に賛成したような活動が本格的に継続されていれば、状況は少し違っていたのではないかなどと考えてしまいます。

 地球人類が平和裡に共存・共生していけるようにするためには、矢張り人類全体を1つの単位として考えた全地球的なガバナンスが必要なのでしょう。国連は本来そのために作られたものでしょうが、肝心の常任理事会はその役を果せていないようです。

 理由の一つには、常任理事国の多くは経常赤字国(借金国)という問題もあるのでしょう。経済問題はすべてではありませんが、 NGRの問題でも述べましたように、重要な基本的要因の一つです。
 難民問題でも、当面の対症療法はもちろん重要です。しかし同時に、長期的な視点で根本解決を考える取組を地球レベルで進めることが更に重要なのではないでしょうか。