tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ホタル飼育とDNA論議

2015年08月17日 10時29分19秒 | 環境
ホタル飼育とDNA論議
 このブログでも時々書いていますが、我が家(都下国分寺市の野川のほとり)では蛍の飼育を試みています。「ホタルよもう一度」という会もあり、私も入れてもらいました。

 国分寺で育った人に聞きますと、昭和30年代前半までは、野川周辺や玉川上水から引いた何本もの用水(最終的には国分寺崖線を下って野川に落ちます)には多くの蛍がいて、米糠を撒いたようにいるので「糠ボタル」などといわれていたようです。

 水道の普及で用水が不要になり、他方、下水道の未整備で野川も用水も家庭廃水用の下水路と化した昭和40年代、国分寺のホタルは絶滅しました。
 今は下水道の完備で野川は綺麗になりましたが、三方コンクリートの「水路」では蛍は育ちません。

 私は昭和38年、国分寺に移り住んで以来ホタルの復活を楽しみにしていましたが、偶々雨水の貯水タンクを備えれば、ホタルが人工飼育できそうだという知識を得、この数年、成功や失敗を繰り返しているという訳です。

 以上が前置きですが、ホタル飼育の知識を得ようとネットの情報を見ていると、ゲンジボタルもヘイケボタルも、地域によってDNAが異なり、それを無視して、どこからでも種蛍を仕入れて飼育するなどは生体系の破壊で怪しからぬことだ、という意見が沢山出ています。

 魚や亀と違って蛍は飛びますから、自宅内管理など不可能です。残念だが悪いことならやめなければならないかと思ったのですが、いや待てよと考えました。

 皇居の吹上御苑でホタルが見られないかという昭和天皇のご希望で、日本中から献上蛍があり、今、関西系のホタルが定着しているということです。
 本栖湖でクニマスが発見されて、大きな話題になりました。人間の手で田沢湖から持ち込んだものですが、みんなが喜んだ報道でした。

 国分寺のホタルは絶滅しました。このままでは国分寺にホタルの飛ぶことはないでしょう。ならば、どこのホタルでもいいから、それが次第に定着し、初夏の用水や野川に蛍が舞う風景を見られた方がよほどいいのではないかと私は考えます。

 もし将来ホタルが定着するのであれば、それはこの地域の自然に適応したDNAの蛍でしょう。一度絶滅した蛍です、飼育の努力は生態系の破壊ではなく、生態系の新生です。

 DNAも大事でしょう。しかしDNA研究が大事なのは、人間の生活・社会に役立つからです。大事なのは、DNAではなく、人間の生活なのです。DNA論議も、あまり視野狭窄にならないようにしてほしいと思うのですが、専門家の意見はどうなのでしょう。