tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

良好な日本経済の実体、株価はおまけ

2015年02月20日 12時17分54秒 | 経済
良好な日本経済の実体、株価はおまけ
 新聞が「日経平均15年ぶりの高値」と大見出しです。確かに、株価が上がれば、企業心理も改善し、人々の心も何となく明るくなるという効果はあるでしょう。
 株価低迷より余程結構ということは間違いありませんが、株価が上がるほど、資産格差が拡大するということも事実です。因みに、株式保有人口は僅か760万人(推計)だそうです。

 日本の株価は長期的には、日本経済の動向の反映で、日経平均はバブル期の絶頂で、38900円、バブル崩壊で暴落しましたが、今回15年ぶりに回復したという2000年のITバブル時期に20000円台を記録、ITバブル崩壊で下がりましたが、「いざなぎ越え」で18000に到達、リーマンショックで暴落、今回の円安政策による景気回復で18300円という具合です。

 ということで、株価はオマケみたいなもので、オマケの付く・付かないは今後の日本経済次第です。虹(株価)は太陽光線より綺麗ですが、太陽(実体経済)が隠れれば消えます。
 ですから我々が問題にすべきは株価ではなく(これは国際ギャンブラーに任せて)日本の実体経済をこれからいかに健全に育てていくかでしょう。

 幸い、日本経済の現状は、財政赤字を除いて、健全です。財政赤字も「国民と政府の間の貸し借り」で外国に迷惑はかけていませんから、ギリシャやアメリカとは違います(前回指摘)。
 GDPがマイナスだとか、輸出が伸びないとか、輸入関連・中小企業は大変とか、企業は海外生産ばかりとか、物価上昇が2パーセントに行かないとか、消費が伸びないとか、色々な意見があります次第に正常化が見えてくると思います。

 2年間で$1=¥80 から100円、120円と急激な円安を実現したわけですから、その上に、3パーセント消費増税ですから、経済の現場が混乱するのは当然です。しかし、日本人の我慢強さ・思慮深さ、混乱からの復元能力の高さを考えれば、上記のような現象は、政策の急激な変動への対応の過渡期の現象で、少し時間がたてば、結果は見えてくると思います。経済成長が確実になれば、物価などは2パーセントも上がる必要はないのです。

 安倍総理も、結果を焦って、「賃上げ、賃上げ」などと言わずに、日本の労使に任せて安心していた方がいいように思います。
 すでに経済成長は10-12月期でプラス2.2%(年率)に転換しました。輸出の増勢は明らかです。製造現場の国内回帰、非正規従業員の正規化、輸入物価の価格転嫁、それを認めようとする輸出大企業の方針などなど、実体は徐々ながら確実に進んでいます。

 ピケティーの本は売れましたが、本当に読んだ人はあまりいないようです。日本人はそれよりも、日常の経済活動を通じ、格差の少ない社会を実現するよう、地道な努力を続けることの方が得意なようです。
 これからの日本経済の健全な発展には期して待つべきものがあると思っています。