tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ギリシャ問題の行方

2015年02月19日 10時09分12秒 | 経済
ギリシャ問題の行方
 ギリシャの政権を握った急進左派連合のチプラス首相は、なかなか強硬のようです。確かに「緊縮終了」の旗を掲げて当選したのですから簡単に譲歩はできないでしょうが、問題はどこまで、どのように頑張れるかでしょう。

 先日「 日本化を心配するEU」でも書かせて頂きましたが、ギリシャをはじめ、EUの懐を当てにして、身の丈よりも贅沢な生活をしてきた経常赤字の国々が、緊縮というEUやIMFの意向を受けて、漸く身の丈に合った生活に戻り、経常収支の黒字化を実現し、借金の返済も可能にという状態になった所で、ギリシャの政権交代が起こったことは、やはり残念というべきでしょう。

 チプラス首相がいつの時点で単純なポピュリストから、経済合理性を多少でも理解出来る「まともなリーダー」になれるのか、全くわかりませんが、思い出すのは1981年でしたか、フランスでミッテランがジスカールデスタンを破って大統領になった時のことです。

 あの時は、欧米主要国がスタグフレーションに呻吟し、レーガン大統領やサッチャー首相が登場改革を断行した時期でした。
 ミッテランは左派代表でしたから選挙の公約には「最低賃金の大幅引き上げ」などを掲げ当選しましたが、最終的には経済合理性に目覚め、賃金凍結までやって、コストを抑え、フランス経済の健全化を果し、後には歴代大統領の中で、ドゴールに次ぐ評価を得たといいます。

 一国経済を健全にし、外国に迷惑を掛けないためには、国民が自らの生産したGDPの範囲で生活することを納得する政治をする意外に方法はありません。
 チプラス首相が、ミッテランのように、何時かそれに気が付くかどうかが、ギリシャが1人前の国になるかどうかの分かれ目でしょう。

 もし、ギリシャの無理が通れば、緊縮政策で再建に頑張る他の国々でも、連鎖反応が起きることは容易に想像されます。場合によっては、EUの結束自体にひびが入りかねません。
 EUは徹底して経済合理性を貫こうとするでしょう。チプラス首相が、当面元気がいいのは解りますが、どこで「経済合理性には勝てない」ことを理解するか、その日が早く来ることを願う所です。

  いつも言っていることですが、このアドバイスはアメリカにもそのまま当て嵌まります。違いはギリシャが小さな国で、アメリカは覇権国、基軸通貨国ですから横車も通しやすいということです。