tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済、最悪の事態とは

2012年10月26日 11時53分31秒 | 経済
日本経済、最悪の事態とは
 では、逆に、日本にとっての最悪の事態とは何でしょうか。
 これも、このブログで、繰り返し述べてきましたように、このまま今までの延長線で行ってしまう事です。

 一言でいえば、今まで通り「円高とデフレのスパイラル」を続けることです。例えば、ある日本企業が素晴らしい蓄電池を開発したとします。通常ならば、その素晴らしい技術開発を生かして世界にその蓄電池を供給し、大きく業績を伸ばし、大きな収益を上げて、雇用を増やし、従業員にはより高い給料を支払い、なおかつ大きな利益を活用して更なる技術開発を進め、その地位を確固たるものにしていくでしょう。

 ところが国際金融市場でトラブルが発生したり、国際投機資本の思惑などで、それをきっかけに、これまでのように10円、20円の円高が進んだとします。
 $1=¥80が、70円になり、60円になると、その電池を日本で作ってもコスト高でペイしません。製造工程は結局海外ということになり、日本の雇用は増えません。円建てでは賃金は全く上がっていませんが、ドル建てでは(国際的には)1割、2割以上の賃上げになっているからです。

 結局、製品化工程のノーハウは海外で育ち、付加価値も海外で発生し、日本に残るのは失業と技術の空洞化です。当然雇用も賃金所得も利益も海外で発生し、日本はデフレ不況、ゼロ・マイナス成長で苦しみます。
 こうして日本の社会は低迷・混乱し企業は疲弊し、教育訓練費も削られ、R&D資金も枯渇、最終的には技術開発力も次第に失われ、失われた10年が20年になり30年になり、日本経済は再起不能の状態になります。
 日本が経験してきたのは正にこれです。

 つまり、円高をどこかで止めなければならないということですが、政府は財政再建を言い、日銀はインフレ警戒が中心で、自ら円高を招くようなことばかりしていたのではないでしょうか。
 世界経済がまともならば、日本の行動は、まさに健全で、誇るに足るものですが・・・。

 日本の状況はいつも例える、ゴルフのハンディでいえば、「あいつには勝たせたくない」という意地悪な幹事がいて、実力12の時はハンディは10、ハンディ10を目指して練習し腕を上げたらハンディは8、もうひと頑張りと練習を始めたらハンディは6といった具合で、常に実力より先にハンディの方が上がってしまうので、いくら練習しても勝てないゴルファーの悲劇というところでしょうか。