tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

1%インフレ目標挫折:日銀

2012年10月06日 17時51分13秒 | 経済
1%インフレ目標挫折:日銀
 前原経済財政相が日銀政策決定会合に出席されました。なかなか思うように動いてくれない円レートを何とか政府と日銀の協力で、少しでも円安にという思いの表れだと思いますが、日銀には日銀の歴史や立場があり、なかなか、打ち解けて協力し合って、日本経済を救おうという段階にはいかないようです。

 日銀としては、これ以上野放図な金融緩和には、本能的な抵抗があるでしょうし、平常時にはそれこそが大事なことだと私も思います。
 外債の購入についても、基本的には為替介入と同じですから、日銀法に抵触する可能性もあるわけで、「日銀法が大事か、日本経済が大事か」といった論議はあるでしょうが、よほど確りした現状認識と目的意識の共有がなければ、難しいと思います。

 そうした状況の中で、日銀白川総裁は、1パーセントのインフレの達成は当面無理という見解を発表しました。インフレというのは、それなりの経済的な状況の結果として起きるもので、単に期待しただけでは起こりませんし、逆に止めることもできません。

 今の状況ではデフレにはなっても、決してインフレにはならないでしょう。何故でしょうか。

 理由は、経済のグローバル化の中で、日本の物価が国際的に見て高いからです。規制緩和、国際化が進めば進むほど、国内物価は国際物価に鞘寄せせざるを得ません。
 ではなぜ日本の物価が高いかというと、これも再三述べてきておりますように、インフレになって高くなったのではなく、円高で高くされてしまったのです。アメリカやヨーロッパ諸国のように、生産性上昇を超える賃上げで、コスト高になり、物価高になったのではありません。

 つまり「デフレの原因は円高」なのです。だから、円高を直せば、日本経済の問題は殆ど治るのです。ですから、政府・日銀は「円高是正」に全力を挙げ、手段を尽くすべきなのです。円高の原因が、アメリカの金融政策のせいか、国際投機資本の思惑か、両者の相乗効果か、など原因を徹底究明し、円高をストップするところからすべての経済政策は始まるのです。

 そのために何をどうすべきか、政府・日銀は、一致協力し、脳味噌を徹底的に絞って、この問題を解決することこそが最重要課題です。王道もありましょう、奇策もあるかもしれません。ただ、デフレの進行を放任するという事は、更なる円高に口実を与え、まさに無策による日本経済自然死への道でしょう。

 こんなことを考えていたのですが、今回の結果は全く期待に反するものでした。残念でなりません。