tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

当面の目標、GDPを使い切ること

2012年10月24日 13時05分06秒 | 経済
当面の目標、GDPを使い切ること
 すでに何度となく書いてきていますように、今の世界経済の不安定は、GDP以上に金を使う経済と、GDPを使い残す経済とが併存しており、それはそれでいいのですが、問題の第一は、そうした経済が固定化してしまっていることなのでしょう。

 自由主義経済がまともに機能していれば、使いすぎている国は、借金で埋めなければならなくなり、それが続いては不健全だという事になり、引き締めをして黒字化を目指し、逆に、使い残して黒字の国は、内需拡大をして、GDPを使い切って、経済を活発にする努力をするという事で、黒字の国と赤字の国が、交互に入れ替わリ立ち替わったりすることになるのでしょう。

 財政金融の引き締めと緩和は、本来そうした「調整」をするための手段(counter-cyclical compensatory fiscal policy)だったはずです。
  ところが、実力以上の生活、つまり、GFPの範囲をはみ出した生活をエンジョイした国では、引き締めをしようとすると、国民が不満を言い、政権を維持したい与党は、人気取りのポピュリストになって、赤字を放置することになります。

 そして残念ながら、基軸通貨国である、アメリカがそうなってしまい、金とドルの兌換を停止(ニクソンショック)ドルの価値を切り下げて、遣り繰りする政策に転換したのです。
 狙いは、ドルの価値を切り下げることで、経常赤字国からの脱出だったのでしょう。しかし一旦稼ぎ以上の生活に慣れたアメリカ人は、その程度の努力も嫌がり、「政権を変えれば、新政権が何とかしてくれるのではないか」といった選択をしたようです。

 政権を変えても、足りないものは足りません、結果は万年赤字国(双子の赤字)への転落です。
結局ドルは円との比較で、$1=¥360から$1=¥80まで切り下げても、アメリカは赤字国か脱出できません。

 そこで考え付いたのが、赤字国があれば黒字国があるのだから、「黒字国のカネが赤字国に流れてくる方法」を考えればいい、という事で、これが「金融工学」です。
そしてその結果が、サブプライムローンの証券化でありリーマン・ショックです。

 ユーロ圏でも、ユーロ切り替えの中で、こうした赤字国の固定化が進みました。しかし、こうした為替操作や金融工学という弥縫策で、問題が根本的に解決するわけではありません。

 そうした意味で、いま日本やドイツに出来る方策は、黒字国でなくなることです。黒字国がなくなれば、赤字国がなくなるからです。国債発行でも、消費拡大でも何でもして、GDPを全部使い切ってしまう 。多少の赤字も厭わないぐらいの気持ちで。
 どうでしょう、どこか変でしょうか・・・・・。