tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本国債が暴落するための条件

2012年10月17日 10時59分24秒 | 経済
日本国債が暴落するための条件
 国債残高が巨額になってきているという事で、近い将来、日本は財政が破綻し、国際暴落、超高金利、ハイパーインフレで、円は紙屑といった危険性があるといった観測がしばしば出てくる今日この頃です。

 前回取り上げた、IMFの対日報告も、そうした危険性を指摘し、財政と金融が共倒れになる危険性を指摘しています。そうした警告がこれだけ多くなり、格付け会社も、その権威にかけて、一生懸命日本国債の格付けを下げようとしているように見えますが、市場の反応は相変わらずの円高基調で、産業界が待ち望む「円安」の気配は全くありません。

 という事で、それなら逆に、どういう条件が揃えば、日本国債が売られ、暴落し、日本国債を沢山持っている日本の金融機関のバランスシートの大穴があき、金利暴騰、ハイパーインフレといった状況になるのか、今後2,3回で考えてみるのはどうでしょうか。

 ヨーロッパで危険視されている国々についてのニュースでいわれるのは、先ず国債入札で、買い手がない(札割れ)という事です。
 日本の場合、国債はすぐ売れます。復興債も個人向け国債も売れます。個人も買いますし、個人からの預金を預かっている銀行も買います。特に銀行は、預かった預金の運用先がなくて困っているのです。国債が最も安全な運用先です。

 IMFはもっと外国の国債などを買ったらどうかと言います。しかし、外国債を買えば円高で損をするばかりですから、危なくて買えません。
国債が売れるという事は、それだけ国民がそれを支える貯蓄をしているという事です。 そうです、日本はずっと経常収支の黒字(カネ余り)国なのです。

 では外国の誰かが日本国債を売ろうとしたとします。買い手がなければ、国際価格は下がり、その分金利が上がります。現実には、少しでもそんな気配があれば、0.0何パーセントでも高い金利で運用したい金融機関などは、すぐそれを買いますから、国債価格はなかなか下がりません。売って買い戻して利益を上げようとしても、そうはいきません。
 しかも、外国は合計でも日本国債の5パーセントほどしか持っていません。
 
 国際的な金融不安の中で、日本国債より安全な金融資産はなかなか見つかりません。それを支えるのは日本人の貯蓄です。そしてこれが最も特徴的なのですが、日本人は、収入が減れば、消費を減らして、矢張り貯蓄をするのです。
 収入が減っても消費を減らさず、貯蓄を取り崩したり、借金をしたりという事が嫌いなのです。

 ですからここ十何年、GDPが減り続けても貯蓄は減らないのです。これは経常収支の黒字が減らないのと表裏の関係です。あれだけの大災害が来て、財産が失われ、復興に金がかかっても、黒字が多少減る程度で、日本は赤字国になっていません。

 ガイトナーは「日本人は金持ちだから大災害が起きてもアメリカの国債は売らない」と言いましたが、金持ちだからというよりは、そうした生活態度の違いが大きいのです。
国民が真面目な 日本の国債を売り叩くのは容易ではない理由はこの辺にあります。