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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

財政政策に舵を切るアメリカ

2010年12月19日 13時55分21秒 | 国際経済
財政政策に舵を切るアメリカ
 昨日の新聞は一斉にオバマ大統領がブッシュ減税の2年間の延長に署名、法律が成立したことを報じています。民主党政権のアメリカが改めて積極財政政策に舵を切ったことについては、注目の要ありでしょう。

 もともと「100年に1度の不況」などと言われた今回の不況は、アメリカが長期に亘って財政赤字と経常赤字、いわゆる「双子の赤字」を垂れ流した結果です。最終的にそのファイナンスに行き詰まって、サブプライムローンを証券化し、世界に売りさばいたことが直接の原因でした。

 不良債権化したサブプライムローンは、世界の銀行のバランスシートに大きな穴 を空け、金融恐慌が引き金になって、実体経済が大打撃という経緯は、記憶に新しいことと思います。
 主要国が機動的な金融の超緩和策を取り、かつての世界恐慌のときのような失敗をしなかったということで、金融政策に対しては、それなりの評価が与えられえたという事でしょうか。

 金融を経済の血液に例えるなら、今回の金融政策は大量の輸血のようなものでしょう。輸血で貧血は治っても、その後の体力回復には、体が「食物摂取と心身の活動のバランスを回復する」という健康な循環 を取り戻さなければなりません。そのためには適切なリハビリが必要です。

 アメリカ経済はきちんとしてリハビリをやって、健康を取り戻したのでしょうか。どう見てもそこまでいっていないように思えるのですがどうでしょうか。
 クリスマス商戦は好調といっても、雇用は低迷(失業率9.6%)、所得は思うように増えず、経常赤字なのに日本型デフレが心配されたりといった状態です。

 そこで、早く元気になるために「栄養剤を打ちましょう」というのが今回の財政出動でしょうか。もともと栄養剤の打ち過ぎ(財政赤字の積み重ね)で、基礎体力が弱ってしまっていたアメリカ経済です。改めて、財政赤字増大懸念の声も少なくありません(減税延長に対する民主党の反対票112票)。
中間選挙で大敗したせいでしょうか、オバマ大統領は財政健全化路線を変え、従来のキリギリス 型路線の継続を選択したようです。

 アメリカは国内だけでなく世界中からいろいろなことを期待されています。アメリカなりの、国内にも、国際問題にも対応するための、やむを得ない判断という事なのでしょう。
 しかし、アメリカ経済としては、これは、いつか来た道の繰り返しにつながることは明らかなように思われてなりません。杞憂ならよいのですが。