tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

リスクの取れる経営

2009年04月28日 20時57分07秒 | 経営
リスクの取れる経営
 資本主義を駆動する中核のシステムは「株式会社」でしょう。人間の知恵の結晶として生まれて来た「株式会社」というシステムは、法人といわれますように、自然人ではない法律制度上の人格ですが、生みの親である人間にだんだん似てきて、立派な行いをしたり、場合によっては破廉恥なことをしてしまったり、ある時は正義の味方になって、人類社会に大きな貢献をしたり、時には強欲な守銭奴になって、世の中に迷惑かけたりします。

 蟹は甲羅に似た穴を掘るといいますが、株式会社も、その企業の経営者に似た振る舞いをするのかもしれません。人類が経済社会の発展を願って考え出した株式会社ですから、矢張り株式会社たるもの、人類の経済社会の発展に役に立つような活動をして欲しいものです。

 ところで、今日、経済社会の発展に役立つ活動とは何でしょうか。
 今、経済社会は「 量から質の時代へ」といわれます。特に、地球環境という問題を考えれば、多量生産・大量消費の時代は終わり、経済社会の質をどう高めるかでしょう。そしてそれが、人類のより高度で快適な暮らしを実現することになるのでしょう。

 その実現のために基本的に必要なものはイノベーション、技術革新といわれます。たとえば、より高度な再生可能エネルギーの生産システムの開発から、エネルギーを最も効率的に利用するシステムの開発まで、といった、ハードウエアからソフトウエアにわたる多様な技術時開発が経済社会発展の原動力になるはずです。

 しかし、技術開発にはリスクがつきものです。ですから、株式会社は、思い切ってリスクを取れるだけの力を持っていなくてはなりません。会社がリスクを取るために最も必要な条件は何でしょうか。それは出来るだけ、自分の資金で技術開発をすることでしょう。不安定な借金で技術開発を試み、失敗したら、会社そのものの生命が絶たれます。

 GMのように、失敗したら、後は国にお願いしますというのなら別ですが、自由主義経済社会を前提とした場合、技術開発のリスクを取れる会社、それは 自己資本比率の高い会社でしょう。伝統的な保守主義の会計学で、自己資本比率を重視したのにはそれなりの理由があったわけです。