tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

資本主義改造の方向

2009年04月23日 12時18分34秒 | 経済
資本主義改造の方向
 資本主義改造計画 (2009.3.30.)以降、いくつかのテーマでブログを書かせていただきましたが、それぞれ、今の資本主義についての是正しなければならない問題点に関連した問題を選んできたつもりです。

 土地や住宅価格のバブルのように一部の資産価格が経済全体の動きに比して突出した上昇を示し、その上昇幅が次第に大きくなっているようなときには、誰かが冷静に「こんな価格上昇はいつまでも続かない。これはバブルだ」警報を鳴らすようなシステムが必要でしょう。

 経済成長を促進したいという願望から、財政や国際収支の赤字に目をつぶって、財政政策や金融緩和を続け、それで長期に好況が継続したとしても、その背後では、そのための資金調達に無理な債券や証券の発行、正常な経済活動とかけ離れた金融テクニークによる資金の確保が必要になります。こんなこともいつまでも続けられるはずはありません。

 破局が来てみれば、誰にでも解ることですが、そうした異常事態が進行している途中では、常に、まだまだこれでいけるはず、といった「 茹で蛙」的な現状楽観主義が主導権を握るのです。

 経験によれば、こうした問題を早期に感知するほど人間は利口でない、ということのようですから、主観的ではない客観的な警報装置を用意して、「まだまだ大丈夫」と思っても、「警報装置が鳴ったから」ということで、政策の方向転換をすることが必要なようです。

 ところで、何を警報装置にすれば良いかですが、これは大変はっきりしているように思います。つまり、実体経済に対して、マネー経済が「ある程度以上」拡大しすぎたとき、と決めれば、今回のような問題は未然に防止可能でしょう。

 この「ある程度以上」というのは、経験を踏まえて、十分論議した上で決めていくべきものでしょうが、一国政府や中央銀行、あるいはIMFなどの国際金融機構がこれを決めることが実は大変なことなのかもしれません。でもやらないとこれまでの繰り返しです。

さらに言わせて頂けば、同時に、資本主義改造には、人間の心の改革も必要のようです。
 たとえば、
「マネーマーケット(金融システム)は、実体経済に役立つために存在する」
「金で金を稼ぐキャピタルゲイン中心の取引は、それ自体、付加価値を生むものではない」
「資本主義経済は常に 道徳的でなくてはならない」
といった、資本主義経済についての本来の哲学や思想を、経済人(ホモ・エコノミックス)が確りと持つことが、より良い資本主義実現のためには必要なのではないでしょうか。