tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカとケインズ政策

2009年04月18日 11時00分38秒 | 経済
アメリカとケインズ政策
 アメリカで、F.ルーズベルトがニューディール政策を打ち出したのは1933年で、ケインズが有名な「一般理論」を出したのが1936年ということで、どちらがどちらに影響を与えたのかは論議のあるところのようですが、それはそれとして、有効需要拡大政策(いわゆるケインズ政策)を、世界に先駆けて採ったのはアメリカということでしょう。

 その時のケインズ型の政策は、大恐慌後のアメリカ経済を対象に、その回復のためでした。
 その後アメリカ経済は紆余曲折はありましたが、第二次大戦後には、巨大な生産力を持って、「バターも大砲も」といわれ、世界を援助しながらアメリカン・ウェイ・オブ・ライフを満喫する経済力を持っていました。
 そのアメリカが、1960年代以降次第にその経済力を弱め、国際収支が赤字続きでニクソンショック(ドルと金の切り離し)となったのが1971年でした。その後もアメリカ経済は、山谷はありましたが、昨年のサブプライムショックまでは、一応、世界経済の繁栄をリードしてきました。

 日本や中国を始め世界各国はアメリカ市場を頼りにして来たのです。ということで、今回の世界金融恐慌までに、アメリカが果たしてきた役割を、ケインズ政策という目で見てみましょう。
 ケインズ政策では、確かにこれを続けているうちは経済は何とかもちます。しかし、経験によれば、赤字財政のための借金に行き詰まれば不況(恐慌)に逆戻りしますし、その回避策が戦争だった、などといわれます。  (戦争が回避策かどうかは経済学的には多分に問題があるように思います)

 ところで、アメリカは、この所ずっと、巨大な赤字を積み上げながら、いわば、世界経済活性化のためのケインズ政策をやってきていたようです。赤字を積み上げながら、政府も国民も分不相応に大きな支出をして(双子の赤字)、世界の需要を増やし、世界経済を元気にする役割を、意図的かどうかは別としてやってきていた、ということでしょう。さすがは世界で初めてケインズ政策を実行した国です。世界経済対象のケインズ政策でも先陣を切りました。

 いわゆる金融工学は、世界経済に対してケインズ政策を実行するための資金調達の方法として、開発せざるを得なかったという面もありそうです。

 さて、アメリカは、懲りずに、まだ、世界経済を対象にケインズ政策をやるのでしょうか。やれば、世界経済の回復は早いでしょう。しかし早晩また行き詰まりは来るはずだというのが理論的な帰結でしょう。アメリカは独りよがりの国なのでしょうか、親切な国なのでしょうか。