tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マネー資本主義再論

2009年04月21日 13時44分19秒 | 経済
マネー資本主義再論
 先月、「資本主義改造計画」というタイトルで書かせて頂きました。共産主義国家は崩壊したが、資本主義は生き残った、理由は環境に適応したからで、ひとつは資本家に代わって経営者が登場したこと、もうひとつは社会保障システムを取り入れたこと、と指摘しました。

 しかしこれでも資本主義は、まだ問題点を持っているので、今回のような失態を演じてしまうことになります。
ならば、今の資本主義のどこをどう変えていけば、今回のような金融恐慌が防げるのでしょうか。そのための具体的な良い方法はあるのでしょうか。
 この問題は、このブログを書き始めたきっかけとも絡む、大きな問題だというのが基本的な認識です。

本質的な問題を整理していきますと、
①人間は、資本蓄積と技術革新を活用した人間自身の働きによって、人間生活をより豊かで快適なものにする方法(付加価値生産方法)のシステム化(株式会社に代表される)を考案することで、年々生活レベルの向上(経済成長)が可能なるような社会(資本主義社会)を作り上げた。

 ②この付加価値生産活動のための血流、あるいは潤滑油として必須なのがマネーの適切な流れである。貨幣(マネー)はそのために考案され、金融システムはそのために整備された。

 ③付加価値生産は実体経済でありそれが本来の人間の経済活動の目的である。そして、それをスムーズに実現するための血流あるいは潤滑油がマネー経済である。
 まずは、こういうことでしょうか。

 ところが、マネー(通貨)は、価値尺度、交換手段、価値貯蔵という3つの機能を持つ故に、マネーの移動によって、価値(付加価値)を移転させることが出来ます。ここに目をつけたのがマネー資本主義です。

 自分の手で面倒な付加価値生産をやらなくても、金を巧みに動かすことによって、世の中の富(付加価値)を手に入れることが出来る。つまり「 キャピタルゲインを目指す経済活動」、これがマネー資本主義の方法論です。
 こうして資本主義の一部に、キャピタルゲインが万能(カネがすべて)だと錯覚させるような状況が生まれました。資本主義の中に、本来の脇役(マネー)が主役の躍り出るようなルートを許してしまったことが、今日のような資本主義の失敗を引き起こしたようです。