tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ロンドンG20、アメリカはどこへいく

2009年04月03日 11時37分28秒 | 経済
ロンドンG20、アメリカはどこへいく
 ロンドンG20が終わって、新興国もふくめた世界経済の成長と雇用維持への協力が宣言されました。

 中身は、G20の国々が協力しての財政金融政策への積極的取り組み、保護主義の排除、国際通貨基金(IMF)の資金増強といった基本的なものに加えて、「金融機関の監督を強化」、「ヘッジファンドや格付け会社の規制・監督強化」、「タックスヘイブンへの監視強化」といった、今回の世界金融危機の原因となった野放図な金融機関の跳梁を何とかしなければという意識が、かなりはっきり出されました。

 G20にあわせて発表されたFSF(金融安定化フォーラム)の報告書では、経営者への報酬の健全化や金融機関の危機管理について述べていますが、最後の「景気循環増幅効果への対応」で『金融取引における過度なレバレッジ の積み上がりの抑制』をいっているのが注目されます。

 折しもアメリカでは株価が大幅上昇し、こちらは、時価会計の適用緩和の見通しの効果も大きいようですが、いずれにしても、昨夏以来、実体経済とはほとんど関係ない金融取引で世界経済が振り回されるような困ったことになってしまっていることだけは明らかでしょう。

 こうした時には、先ず金融の安定が必須というのは致し方ないことで、株価が上がれば、金融機関も一息ついて、経済の回転も良くなるという面は否定できません。ですが、本当の問題はその先にあるわけで、各国の実体経済つまりGDPが成長に向かい、世界経済が成長・拡大することです。

 金融機関の健全性回復は、実体経済の回復のために必要な当面の手段で、その後には、実体経済の着実な成長という課題が本命として控えています。
 たとえていえば、アメリカの自動車会社に金融支援をすることは当面の課題ですが、アメリカの自動車会社が、国際競争力の十分な車を作れるようになることが本当の目的だというのと同じでしょう。

 今回のG20で、アメリカの姿勢が、従来の金融(借金)立国から実体経済重視に変わってくれれば、世界経済にとっても素晴らしいことですが、さてどうなるのでしょうか。