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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

株主リストに記載する株主の氏名又は住所に変更があった場合

2016-09-08 13:15:12 | 会社法(改正商法等)
 登記申請書に添付する株主リストは,原則として,基準日現在の株主名簿に記載された情報を基に作成されることになるが,基準日後に株主の氏名又は住所に変更があった場合は,如何。

(1)基準日後,株主総会の終結の時までの間に変更があった場合
(2)株主総会の終結時以後で,株主リストの作成時までの間に変更があった場合

 上記の2つのケースが想定されるが,いずれの場合も,株主から株式会社に対して氏名又は住所の変更届出があったのであれば,株主リストには,変更後の氏名又は住所を記載すべきであろう。株主の氏名及び住所は,本人特定事項であるから,株式会社が把握している最新の情報を記載すべきであると考える。


 限界事例としては,株主が会社等である場合に,当該株主が商号変更や本店移転の手続を行い,株式会社の登記申請時点(株主リストの作成時点)では,未だ事件中(商号変更や本店移転に係る登記申請中)であることも想定されるが,この場合は,如何。

 変更後の登記事項証明書を添付した変更届出があるまでの間は,変更前の商号又は本店を記載することになろうか。


 なお,「住所」については,論点となっていないが,株主リストの作成の上では,株主が自然人であれば,住民登録上の住所ではなく,現に居住している場所を意味すると考えるのが筋であろう。しかし,株主が会社等の法人であれば,現に本社機能を営む事業所がどこであれ,登記簿上の本店所在場所を意味するとして取り扱わざるを得ないであろう。
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2 コメント

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現に居住している場所 (genmai)
2016-09-09 08:03:25
いつも勉強させて頂いております。(大感謝)

今回の規則改正案の概要には、確かに、「~国際的にも~法人の所有者情報を把握して~透明性を確保~」とはありますが、

「株主の本人確認までも、ある程度は徹底させる。」と言う意味まではないんだろうと思っていたのですが・・・・。

「新基本法コンメンタール」(日評・別冊法学セミナー)は、「株主が会社に届け出たものであり、生活の本拠である必要はない。」としており、

また、「会社法コンメンタール」(商事法務)も、「生活の本拠である必要はなく、私書箱とすることもできる。」としております。

会社に株主名簿の整備義務は当然あるとして、株主名簿の法的効力を考えると、住所は、あくまで、「株主が届け出るべき」ものであって、会社が、実住所かどうか等、その信憑性や確実性までも、確認したり検索すべきものと思わなかったのですが・・・・

アメリカ在住の人が、実住所を届け出ずに、単に、「国内代理人宛」を住所として届け出ても、株主側の責任の問題と考えていたのですが(上記の私書箱の例のように)・・・・・

如何なのでしょうか?
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御回答 (内藤卓)
2016-09-09 10:24:21
 通常は,現に居住している場所を「住所」として届け出るであろうという理解でしたが,言葉足らずでしたか。

 確かに,従来の学説等においては,「生活の本拠でなくてもよい」とか,「私書箱でもよい」ということでした。しかし,株券不発行会社が常態化している今日,株式会社は,株主権の行使をしてきた自称株主について,本人確認をすることは不可避であり,当然の義務と言えるでしょうし,そのためには,新たに株主となった時点で,当該株主から,氏名,住所及び生年月日という本人特定事項を公的な書類に基づいて入手しておかなければならないと考えます。加えて,「招集通知等の送付先を届け出てください」ということですね。

  株主について,「住民登録上の住所」,「現に居住している場所」及び「招集通知等の送付先(私書箱等)」を株式会社が把握しているとして,株主名簿の「住所」は,いずれを記載すべきでしょうか。株主名簿の閲覧や株主リストの問題があるとはいえ,「私書箱」ではよろしくないように考えます。
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