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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

払込みが設立に際して出資されたものと認められるか否か

2022-06-17 11:51:34 | 会社法(改正商法等)
 今般の規制緩和によれば,定款で会社法第32条第1項各号の定めがされている場合に,

(1)払込みがされた日・・・令和4年5月31日
(2)定款の作成日・・・令和4年6月17日

というケースの払込みが概ね有効なものとして取り扱われることになる。

cf. 令和4年6月14日付け「株式会社の発起設立の登記の申請書に添付すべき会社法第34条第1項の規定による払込みがあったことを証する書面の払込みの時期について(通知)」

 しかし,定款の作成が払込みより遅れた場合であっても,払込みの時点(5月31日)で,会社法第32条第1項各号に関する発起人全員の同意が成立していたはずである(単に書面が作成されていなかっただけである。)。

 したがって,当該同意を証する書面(例えば,5月31日付け)を作成して,設立登記の申請書の添付書面に加えるのが理に適っている。

 仮に,払込みの時点(5月31日)で,会社法第32条第1項各号に関する発起人全員の同意が成立しておらず,誰が何株を引き受けるのかが未確定の状態で,定款の作成日において初めて全員の同意が成立したものであったとすれば,当該払込みをもって,設立に際して出資されたものと認めることは困難である。

 このような場合には,払込みのやり直しをするのが理に適っている。

 今般の規制緩和は,本人申請の場合のあくまで救済措置として考えるべきである。司法書士としては,会社法の規律に沿って,設立の手続が履行されるように,留意すべきである。


会社法
 (設立時発行株式に関する事項の決定)
第三十二条 発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
 一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
 二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
 三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
2 【略】

 (出資の履行)
第三十四条 発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
2 前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行をいう。第七百三条第一号において同じ。)、信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。
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