日本公証人連合会HPには、下記の定款記載例が掲載されている。
定款記載例(中小会社2)
(株式の譲渡制限)
(記載例3)
第7条 当会社の発行する株式は,すべて譲渡制限株式とし,これを譲渡又は取得するには,株主又は取得者は代表取締役の承認を要する。
2 当会社が株式の譲渡承認請求を受けてこれを承認しない場合,代表取締役おいて(※ママ)対象株式の全部又は一部を買い取る者を指定することができる。
また、三菱UFJ信託銀行証券代行部編「新会社法の定款モデル 定款作成・変更の記載実務」(中央経済社)17頁にも、類似の規定が紹介されている。
会社法モデル
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の株式の譲渡または取得については,株主または取得者は取締役会の承認を受けなければならない。
同書の解説によれば、「株式の譲渡者からの承認請求だけでなく・・・取得者からの承認請求についても併せて規定している。」という趣旨のようである。
しかし、会社法第2条第17号に、譲渡制限株式の定義として、「株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。」とあり、また、同第136条及び第137条の規定も下記のとおりであることから、「譲渡による取得について承認を要する」という表現を採るべきである。
(株主からの承認の請求)
第136条 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
(株式取得者からの承認の請求)
第137条 譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
このあたりに関しては、立案担当者により、「現行商法においても、譲渡制限株式の譲渡については、取締役会の承認がなくてもその譲渡の有効性についてはこれを有効とし、譲渡制限に係る規定はもっぱら株主名簿の名義書換との関係での規定として理解されているところである。そこで、会社法においては、譲渡制限株式の定義として、『譲渡について当該株式会社の承認を要すること』ではなく、『譲渡よる取得について当該株式会社の承認を要すること』の表現を用いることとしている。」(旬刊商事法務第1739号38頁)と解説されているところでもある。
なお、第137条第1項には、「譲渡制限株式を取得したことについて」とあるが、同規定は、「第2款 株式の譲渡に係る承認手続」に置かれており、あくまで、「譲渡によって取得したことについて」承認を請求するものであり、相続等の一般承継による取得を含むものではないが、上記定款モデルはそのような場合を含むように誤解される虞もある。
従って、定款変更を行う場合等においては、「譲渡又は取得について承認を要する」という表現を採るべきではない、と考える。
定款記載例(中小会社2)
(株式の譲渡制限)
(記載例3)
第7条 当会社の発行する株式は,すべて譲渡制限株式とし,これを譲渡又は取得するには,株主又は取得者は代表取締役の承認を要する。
2 当会社が株式の譲渡承認請求を受けてこれを承認しない場合,代表取締役おいて(※ママ)対象株式の全部又は一部を買い取る者を指定することができる。
また、三菱UFJ信託銀行証券代行部編「新会社法の定款モデル 定款作成・変更の記載実務」(中央経済社)17頁にも、類似の規定が紹介されている。
会社法モデル
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の株式の譲渡または取得については,株主または取得者は取締役会の承認を受けなければならない。
同書の解説によれば、「株式の譲渡者からの承認請求だけでなく・・・取得者からの承認請求についても併せて規定している。」という趣旨のようである。
しかし、会社法第2条第17号に、譲渡制限株式の定義として、「株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。」とあり、また、同第136条及び第137条の規定も下記のとおりであることから、「譲渡による取得について承認を要する」という表現を採るべきである。
(株主からの承認の請求)
第136条 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
(株式取得者からの承認の請求)
第137条 譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
このあたりに関しては、立案担当者により、「現行商法においても、譲渡制限株式の譲渡については、取締役会の承認がなくてもその譲渡の有効性についてはこれを有効とし、譲渡制限に係る規定はもっぱら株主名簿の名義書換との関係での規定として理解されているところである。そこで、会社法においては、譲渡制限株式の定義として、『譲渡について当該株式会社の承認を要すること』ではなく、『譲渡よる取得について当該株式会社の承認を要すること』の表現を用いることとしている。」(旬刊商事法務第1739号38頁)と解説されているところでもある。
なお、第137条第1項には、「譲渡制限株式を取得したことについて」とあるが、同規定は、「第2款 株式の譲渡に係る承認手続」に置かれており、あくまで、「譲渡によって取得したことについて」承認を請求するものであり、相続等の一般承継による取得を含むものではないが、上記定款モデルはそのような場合を含むように誤解される虞もある。
従って、定款変更を行う場合等においては、「譲渡又は取得について承認を要する」という表現を採るべきではない、と考える。
やっぱり定款の記載はシンプルで分かり易さが大切ですね。
この点、先生のご本の『新会社法定款事例集』は素人ながらとってもまとまっていると感じます。
ところで、このご本について2点質問をさせて頂けませんか?もし、ダメでしたらスルーして下さっても結構です。
1点目
81頁の特例有限会社の定款 第20条の前に『第6章 附則』と入れても変ではないでしょうか?
2点目
105頁の種類株式発行会社<C>の種類株式の普通株式、A種株式、B種株式の名称なんですが、種類株式発行会社では、普通株式という区分はないという意見もあります。定款に記載する種類株式の名称は、AとかBとかの記号でいいのでしょうか、それとも、内容がある程度分かる名称を付ける必要があるのでしょうか?
1点目について
結構だと思います。
2点目について
種類株式の内容は、相対的なものであるので、「普通株式」は存在しない、というのも一理だと思います(「論点解説」54頁ですね。)。しかし、登記においては、普通株式という表記が存置されるものと思われます(おそらく)。
種類株式の名称に関しては、適宜のもので結構です。別の種類株式であると、区別がつけばいいわけです。
第何回劣後株
第何回何とか連動株
とかつけている会社もあるようですぇ。
大変助かりました。