医療法人の公告方法は,定款の必要的記載事項である(医療法第44条第2項第12号)。しかし,登記事項ではない。
医療法人の公告方法の内容については,法定されていない。ただし,例外として,医療法人(その事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)は,厚生労働省令で定めるところにより,医療法第51条の2第3項(同条第5項において読み替えて準用する場合を含む。)の承認を受けた事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書に限る。)を公告しなければならない(医療法第51条の3)とされており,この場合の公告方法については,医療法施行規則第33条の2の9の規定によって,官報に掲載する方法,時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告のいずれかを定めるものとされている。
医療法の規定により定款の規定に基づく公告方法により公告をする必要があるのは,合併の場合(医療法第58条の4第1項),分割の場合(医療法第60条の5第1項)及び医療法第54条の7の規定により準用する会社法の規定(会社法第706条第3項ほか)による場合(社債関係)に限られている。その他例外として,上記医療法第51条の3の規定による公告をする場合がある。
すなわち,医療法人の合併の場合の公告は,官報によることが法定されておらず,定款の規定に基づく公告方法により公告をするのである。
医療法
第58条の4 医療法人は、前条第1項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。ただし、その期間は、2月を下ることができない。
2 債権者が前項の期間内に吸収合併に対して異議を述べなかつたときは、吸収合併を承認したものとみなす。
3 債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。以下同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、吸収合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
ところで,医療法人の合併の登記の申請書には,公告をしたことを証する書面を添付しなければならない(組合等登記令第20条第2項)。
これは,もちろん,定款の規定に基づく公告方法により公告をしたことを証する書面である。
定款の規定に基づく公告方法が「電子公告」である場合,この証明書については,如何?
医療法は,会社法第941条等の電子公告に関する規定を準用していない。したがって,医療法人が電子公告を行った場合に,電子公告調査機関の調査が行われたとしても,これは,法的要請ではなく,任意の調査ということになる。
したがって,上記の公告をしたことを証する書面として,電子公告調査機関の調査書は,必須のものではない。とはいえ,何らかの証明書を添付する必要はあるので,電子公告調査機関の調査書を添付するのが穏当なところであろう。いわゆる自己証明でもよいであろうが,「証明」の観点からは,電子公告調査機関の調査書が勝るであろう。
そもそも論であるが,合併の場合の公告について同様の規定を置いていた社会福祉法人については,先般の改正(平成29年4月1日施行)の際に,官報によるべきこととされた(社会福祉法第53条第1項柱書ほか)にもかかわらず,医療法人については,従来の規定が存置されているのが問題であろう。
以下,問題提起であるが,
医療法第58条の4第1項本文及び第60条の5第1項本文の規定を改正して,合併及び分割の場合の公告は,官報によるべきこととすべきである。そして,ダブル公告に関する規定も置くべきである。
また,電子公告をする場合の電子公告調査機関の調査を法定すべきであり,医療法に,会社法第941条等の電子公告に関する規定を準用する規定を置くべきである。
公告方法を登記事項にすべきである。そうしないと,「登記アドレス」(電子公告規則第3条第2号)が存しないからである。
医療法人の公告方法の内容については,法定されていない。ただし,例外として,医療法人(その事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)は,厚生労働省令で定めるところにより,医療法第51条の2第3項(同条第5項において読み替えて準用する場合を含む。)の承認を受けた事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書に限る。)を公告しなければならない(医療法第51条の3)とされており,この場合の公告方法については,医療法施行規則第33条の2の9の規定によって,官報に掲載する方法,時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又は電子公告のいずれかを定めるものとされている。
医療法の規定により定款の規定に基づく公告方法により公告をする必要があるのは,合併の場合(医療法第58条の4第1項),分割の場合(医療法第60条の5第1項)及び医療法第54条の7の規定により準用する会社法の規定(会社法第706条第3項ほか)による場合(社債関係)に限られている。その他例外として,上記医療法第51条の3の規定による公告をする場合がある。
すなわち,医療法人の合併の場合の公告は,官報によることが法定されておらず,定款の規定に基づく公告方法により公告をするのである。
医療法
第58条の4 医療法人は、前条第1項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。ただし、その期間は、2月を下ることができない。
2 債権者が前項の期間内に吸収合併に対して異議を述べなかつたときは、吸収合併を承認したものとみなす。
3 債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。以下同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、吸収合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
ところで,医療法人の合併の登記の申請書には,公告をしたことを証する書面を添付しなければならない(組合等登記令第20条第2項)。
これは,もちろん,定款の規定に基づく公告方法により公告をしたことを証する書面である。
定款の規定に基づく公告方法が「電子公告」である場合,この証明書については,如何?
医療法は,会社法第941条等の電子公告に関する規定を準用していない。したがって,医療法人が電子公告を行った場合に,電子公告調査機関の調査が行われたとしても,これは,法的要請ではなく,任意の調査ということになる。
したがって,上記の公告をしたことを証する書面として,電子公告調査機関の調査書は,必須のものではない。とはいえ,何らかの証明書を添付する必要はあるので,電子公告調査機関の調査書を添付するのが穏当なところであろう。いわゆる自己証明でもよいであろうが,「証明」の観点からは,電子公告調査機関の調査書が勝るであろう。
そもそも論であるが,合併の場合の公告について同様の規定を置いていた社会福祉法人については,先般の改正(平成29年4月1日施行)の際に,官報によるべきこととされた(社会福祉法第53条第1項柱書ほか)にもかかわらず,医療法人については,従来の規定が存置されているのが問題であろう。
以下,問題提起であるが,
医療法第58条の4第1項本文及び第60条の5第1項本文の規定を改正して,合併及び分割の場合の公告は,官報によるべきこととすべきである。そして,ダブル公告に関する規定も置くべきである。
また,電子公告をする場合の電子公告調査機関の調査を法定すべきであり,医療法に,会社法第941条等の電子公告に関する規定を準用する規定を置くべきである。
公告方法を登記事項にすべきである。そうしないと,「登記アドレス」(電子公告規則第3条第2号)が存しないからである。