東京法務局だより平成20年4月号に、次の「照会・回答事例」が掲載されているようである。
1 合同会社が登記義務者となる場合の添付書類について
(照会の趣旨)
合同会社甲が登記義務者となる場合において、法人乙が合同会社の業務を執行する社員である場合に添付する印鑑証明書と資格証明書は何を添付すれば良いのでしょうか?
(回答)
印鑑証明書については合同会社甲の代表者の印鑑証明書、資格証明書については、合同会社甲の資格証明書及び法人乙の資格証明書を添付することとなります。
そして、最近、「法人乙の資格証明書」の添付の取扱いが始まったそうであるが、疑問である。
この点に関しては、平成18年3月29日法務省民二第755号民事局長通達があるが、
「申請人である持分会社の代表者が法人である場合には、申請情報の内容として、代表者である法人の商号又は名称に加えて、その職務を行うべき者の氏名が、また、添付情報として、代表者である法人の持分会社の代表者としての資格を証する情報に加えて、その職務を行うべき者の資格を証する情報が、それぞれ必要である(法第912条第7号、第913条第9号、第914条第8号)。さらに、印鑑に関する証明書を添付すべき場合には、その職務を行うべき者の印鑑に関する証明書を添付しなければならない(改正省令による改正後の商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)第9条第1項第4号参照)。」
上記通達において、資格証明情報として要求されているのは、
①代表者である法人の「持分会社の代表者としての資格を証する情報」
②「代表者である法人の職務を行うべき者」の資格を証する情報
であり、持分会社の登記事項証明書等は、①②を兼ね備えたものであるはずである。従って、本件「照会・回答事例」が「法人乙の資格証明書」を要求しているのは不可解である。
推測するに、本件取扱いは、代表社員及び職務執行者には任期がないことから、代表社員である法人乙が、例えば解散及び清算結了しているにもかかわらず、持分会社甲の会社登記が変更されないまま放置されている、というようなケースを懸念しているのではないか、と思われる。
しかし、職務執行者は、代表社員である法人乙の職務を行うとはいえ、その行為はあくまで持分会社甲の業務執行行為であり、代表行為であるわけであるから、代表社員である法人乙の登記事項証明書等を添付させるのは筋が違うように思われる。また、代表社員が自然人である場合においても、法定退社事由に該当する等により登記申請時点で既に退社しているケースはあるわけであるから、代表社員が法人である場合にのみ「社員であることの証明」を要求するのも平仄を欠くことになる。
特に、合同会社においては、「営業所を設置しない外国会社」が代表社員であるケースが少なくないが、そのような場合に、「法人乙の資格証明書」として何を添付するのかという困難な問題を生じているようである。
ということで、本件「照会・回答事例」の取扱いに疑問を呈しておく。
合同会社が申請人となる不動産登記については、不可解な取扱いが多い。
cf. 平成19年3月26日付「合同会社の利益相反行為について」
1 合同会社が登記義務者となる場合の添付書類について
(照会の趣旨)
合同会社甲が登記義務者となる場合において、法人乙が合同会社の業務を執行する社員である場合に添付する印鑑証明書と資格証明書は何を添付すれば良いのでしょうか?
(回答)
印鑑証明書については合同会社甲の代表者の印鑑証明書、資格証明書については、合同会社甲の資格証明書及び法人乙の資格証明書を添付することとなります。
そして、最近、「法人乙の資格証明書」の添付の取扱いが始まったそうであるが、疑問である。
この点に関しては、平成18年3月29日法務省民二第755号民事局長通達があるが、
「申請人である持分会社の代表者が法人である場合には、申請情報の内容として、代表者である法人の商号又は名称に加えて、その職務を行うべき者の氏名が、また、添付情報として、代表者である法人の持分会社の代表者としての資格を証する情報に加えて、その職務を行うべき者の資格を証する情報が、それぞれ必要である(法第912条第7号、第913条第9号、第914条第8号)。さらに、印鑑に関する証明書を添付すべき場合には、その職務を行うべき者の印鑑に関する証明書を添付しなければならない(改正省令による改正後の商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)第9条第1項第4号参照)。」
上記通達において、資格証明情報として要求されているのは、
①代表者である法人の「持分会社の代表者としての資格を証する情報」
②「代表者である法人の職務を行うべき者」の資格を証する情報
であり、持分会社の登記事項証明書等は、①②を兼ね備えたものであるはずである。従って、本件「照会・回答事例」が「法人乙の資格証明書」を要求しているのは不可解である。
推測するに、本件取扱いは、代表社員及び職務執行者には任期がないことから、代表社員である法人乙が、例えば解散及び清算結了しているにもかかわらず、持分会社甲の会社登記が変更されないまま放置されている、というようなケースを懸念しているのではないか、と思われる。
しかし、職務執行者は、代表社員である法人乙の職務を行うとはいえ、その行為はあくまで持分会社甲の業務執行行為であり、代表行為であるわけであるから、代表社員である法人乙の登記事項証明書等を添付させるのは筋が違うように思われる。また、代表社員が自然人である場合においても、法定退社事由に該当する等により登記申請時点で既に退社しているケースはあるわけであるから、代表社員が法人である場合にのみ「社員であることの証明」を要求するのも平仄を欠くことになる。
特に、合同会社においては、「営業所を設置しない外国会社」が代表社員であるケースが少なくないが、そのような場合に、「法人乙の資格証明書」として何を添付するのかという困難な問題を生じているようである。
ということで、本件「照会・回答事例」の取扱いに疑問を呈しておく。
合同会社が申請人となる不動産登記については、不可解な取扱いが多い。
cf. 平成19年3月26日付「合同会社の利益相反行為について」