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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

簡易株式交付と差損を生ずる場合

2020-10-06 13:04:10 | 会社法(改正商法等)
 組織再編において,いわゆる簡易組織再編によることが可能か否かを検討する際に,「差損」を生ずる場合には不可という点がある。

cf. 「差損」一覧
https://blog.goo.ne.jp/tks-naito/s/%E5%B7%AE%E6%90%8D

 ところで,令和元年改正会社法により新設される株式交付の手続においても,簡易株式交付によることができる。

 すなわち,株式交付親会社は,株式交付計画を作成し(会社法第774条の2後段),株主総会の決議(特別決議)によって,その承認を受けなければならない(会社法第816条の3第1項)が,簡易株式交付(会社法第816条の4第1項前段)の要件を満たす場合には,株式交付親会社の株主総会の決議を要しない。ただし,形式的に簡易株式交付の要件を満たす場合であっても,いわゆる差損を生ずる場合,株式交付親会社が公開会社でない場合又は株式交付親会社の株主の一定割合が株式交付に反対する旨を通知した場合には,原則どおり,株主総会の決議によって,承認を受けなければならない(会社法第816条の4第1項ただし書,第2項)。

 簡易株式交付(会社法第816条の4第1項前段)の要件を満たさない場合として,差損を生ずる場合(会社法第816条の4第1項ただし書の「同項に規定する場合」)がある。この「同項」が会社法第816条の3第2項であり,

「株式交付親会社が株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等(株式交付親会社の株式等を除く。)の帳簿価額が株式交付親会社が譲り受ける株式交付子会社の株式及び新株予約権等の額として法務省令で定める額を超える場合」

である。

 したがって,株式交付親会社の株式のみが対価となる場合には,「差損を生ずる場合」に該当することはない。

 そして,「法務省令で定める場合」とは,パブコメで示された会社法施行規則案第213条の4で定める額である。

 (株式交付親会社が譲り受ける株式交付子会社の株式等の額)
第213条の4 法第816条の3第2項に規定する法務省令で定める額は、第1号及び第2号に掲げる額の合計額から第3号に掲げる額を減じて得た額とする。
 一 株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式交付子会社の株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)及び新株予約権付社債につき会計帳簿に付すべき額
 二 会社計算規則第11条の規定により計上したのれんの額
 三 会社計算規則第12条の規定により計上する負債の額(株式交付子会社が株式交付親会社(連結配当規制適用会社に限る。)の子会社である場合にあっては、零)

 ん~,難しいですね。
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