司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

定款における資本金の額に関する事項の定め方

2021-10-06 09:51:18 | 会社法(改正商法等)
 株式会社の成立後の資本金の額に関する事項については,定款に定めがないときは,発起人の全員の同意によって定めなければならない(会社法第32条第1項第3号)。

 私は,定款には次の条項(会社法第27条第4号)を置くにとどめ,

 (設立に際して出資される財産の最低額)
第〇条 当会社の設立に際して出資される財産の最低額は,金10万円とする。

資本金の額に関する事項については,発起人の決定書に記載することとしている。定款認証を終えた後の後発的な事情の変更に備えるためである。

 しかし,今般の公証人手数料令の改正がされると,定款で直接資本金の額を定めることがスタンダードになりそうである。私と同様の記載のままでは,実際の資本金の額にかかわらず,手数料は,5万円であるからである(改正政令案第35条第3号)。

 日公連のモデル定款例によると,下記のようになろうか。

【記載例1】
 (設立に際して出資される財産の価額及び成立後の資本金の額)
第〇条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金100万円とする。
2 当会社の成立後の資本金の額は、金90万円とする。
※ この場合の手数料は,3万円である。第2項の記載がなければ,4万円となる。

【記載例2】
 (設立に際して出資される財産の価額)
第〇条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金200万円とする。
 (成立後の資本金の額)
第〇条 当会社の設立に際して出資される財産の全額を成立後の資本金の額とする。
※ この場合の手数料は,4万円である。

 当然といえば,当然のことであるが,司法書士としては,定款における資本金の額に関する事項の定め方如何によって,公証人手数料の額が異なり得ることを説明しなければならないことになる。


 手数料が異なり得るケースとしては,

(1)「設立に際して出資される財産の価額」が100万円未満である場合の手数料は,資本金の額の定め方如何にかかわらず,3万円となる。

(2)「設立に際して出資される財産の価額」が100万円以上200万円未満である場合の手数料は,原則は4万円であるが,2分の1を資本金に組み入れない旨が明記されていれば3万円となる。

(3)「設立に際して出資される財産の価額」が200万円以上300万円未満である場合の手数料は,資本金の額の定め方如何にかかわらず,4万円となる。

(4)「設立に際して出資される財産の価額」が300万円以上600万円未満である場合の手数料は,原則は5万円であるが,2分の1を資本金に組み入れない旨が明記されていれば4万円となる。

 上記のとおりであるから,「設立に際して出資される財産の価額」が600万円未満のケースで,定款に何も記載しないのは,論外といえよう。
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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2021-10-07 14:35:38
手数料の値下げはありがたいのですが
設立する会社の都道府県内の公証役場の認証した定款でなければならないという悪しき風習を撤廃していただきたいですね。
電話認証できるようになったのでわざわざ行かなくて済みますが、最寄りの公証役場行く方が楽です。

同一都道府県でなければならない合理的理由がないんですよね。。。
返信する
同一局です。 (みうら)
2021-10-10 19:12:10
だから札幌と函館は別です。
関東法務局だ゜けとして地方局を廃止すればいいんです。
返信する

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