司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

法人が住所地所在の不動産を利用する法的権限を有することを証明する書面

2018-05-27 15:00:11 | 会社法(改正商法等)
 ロシアでは,商業登記の申請の際に,法人が住所地所在の不動産を利用する法的権限を有することを証明する書面の提出が要請されているらしい。

cf. 商業・法人登記制度に関する外国法制等の調査研究業務報告書(平成28年1月)by 法務省
http://www.moj.go.jp/kaikei/bunsho/kaikei03_00024.html
※ 200頁以降

 日本でも,一応検討の俎上には上っているようではあるが。

 「マス・レジストレーション住所」・・日本にもあるようである。検索するには,「法人番号公表サイト」が便利である。


〇 住所地所在の不動産を利用する権限を証明する書面
 設立登記申請に必要な書面には挙げられていないが、モスクワ市の登記実務上、法人が住所地所在の不動産を利用する法的権限を有することを証明する書面の提出が要請される。多くの場合、商業ビルの一室を賃借するため、①賃貸借契約に関する賃貸人からの保証レター(設立登記された際には、当該法人に賃貸することを確約する書面)、②賃貸人の不動産所有証明書の写し、③転貸借する場合、当該不動産の所有者と転貸人との間の賃貸借契約書の写しを提出しなければならない。法人住所に関して提出した書面の情報に信用性がないと判断された場合、登記申請を却下できるとされ(登記法23条1項р号)、実際に、却下されている(後掲「第2章4.登記審査における会社の本店および実在性の確認」を参照)。

〇 登記審査における会社の本店および実在性の確認
 設立登記に際しては、モスクワ市の登記実務上、住所地所在不動産を利用する権限を証明する書面を提出する必要がある(前掲「第2章2.(3)その他書面」を参照)。これまで、登記機関は、賃貸人に電話連絡を入れることはあったが、現地検分まではしていなかったと考えられる。登記機関は、申請から5営業日以内に国家登記か、国家登記却下を決定しなければならなかったため、賃貸人と電話連絡がとれなかった場合、申請書類不備を理由に国家登記を却下していた。2016年1月1日に導入された提出書面・情報の調査制度では、調査手法に不動産の検分が含まれており(前掲「第2章1.(4)登記機関による提出書面・情報の調査」を参照)、今後、実地検分が行われる可能性がある。

 ロシアでは、多数の法人が登記をしている住所は「マス・レジストレーション住所」と称され、架空会社・トンネル会社が利用するブラックリスト住所とみなされている(2013年11月29日付財務省意見書第 03-02-07/1/51753 号)。登記機関(連邦租税局)は、マス・レジストレーション住所の情報を集め、同局サイトでも検索できるようにしている。登記予定住所がマス・レジストレーション住所に該当することで直ちに、登記申請が却下されるわけではないが、登記機関による確認が入念になる。
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