司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

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代表取締役の員数規定を看過して超過選定

2023-03-31 16:01:31 | 会社法(改正商法等)
讀賣新聞記事
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230330-OYT1T50185/

 当該会社の定款第21条第1項では,「取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の中から2名以内の代表取締役を選定する。」と定められていたが,それを看過して,3人を選定してしまったようである。

〇 訂正及び取り下げ理由
「2022年6月24日開催の当社取締役会において、経営体制の強化・充実を図ることを目的として、取締役であるAを代表取締役として追加選任することに係る取締役会決議を行いました。しかし、当社定款には、2名以内の代表取締役を選定すると規定されており、Aを代表取締役にすることは不可能なため、訂正及び取り下げいたします。」

cf. 同社ニュースリリース
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS02648/ed15cf7a/70b4/4d34/89a7/f4b8fb480942/140120230330539615.pdf

「追加選任」とあるが,当該会社は,監査等委員会設置会社であり,取締役(監査等委員である取締役を除く。)の任期は,1年であるので,期の途中で代表取締役を1名追加した訳ではなく,3名の選定である。

 ん~,昨年の定時株主総会の開催直後の取締役会において,1個の決議で,3人を同時に選定していると思われるので,本来は全体として無効であると思われるが・・・・・今般,取締役会の決議によって,代表取締役の選定に関する決議の一部(A氏に関する部分)を取り消したということであろうか?

「取締役会の決議の内容・手続に瑕疵がある場合については,株主総会の場合と異なり,特別の訴えの制度は設けられていない。したがって,瑕疵の性質如何に関わらずその決議は当然に無効であり,誰から誰に対しても,何時いかなる方法でも,無効を主張できる。」(江頭憲治郎「株式会社法(第8版)」(有斐閣)439頁)

 この理からすると,昨年6月の代表取締役の選定の決議は,全体として無効であり,3名の登記を「登記事項の無効による抹消」(商業登記法第134条第1項第2号本文)により抹消した上で,今般の取締役会の決議によって2名を選定したことによる登記の申請することになるであろう。

 さて,どのような登記がされるであろうか。
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1 コメント

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無効でない (みうら)
2023-04-01 08:12:29
取り消し可能なだけよね。
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