旧商法における取締役の任期の起算点に関する実務の取扱いは、「就任時」であったが、会社法では明文規定が置かれ、「選任時」であるとされている(会社法第332条第1項)。しかも、「新・会社法 千問の道標」(商事法務)286頁によれば、「株主総会の決議で、選任決議の効力発生時期を遅らせることとしたとしても、任期の起算点については、選任決議の日と解すべきである。」とされている。したがって、後日、退任の日が登記上一見明らかでないという実務上の問題点が生じている。
合併に伴う定款変更、取締役の就任等については、これらが合併の法的効果と直接関係がないことから、合併契約の必要的記載事項から外され、別に株主総会の決議が必要と整理されているが、上記によれば、取締役の任期の起算点は、合併による就任の日ではなく、選任決議を行った合併契約承認株主総会等の日ということになる。「選任時」としたのが「株主総会の選任決議と就任承諾との間に長期間の隔たりがある場合などにおいて、任期の終期が株主総会の意思に反する事態が生じかねない(上掲・285頁)ことを避けて、株主総会のコントロールを及ぼしめる趣旨であれば、将来の日に選任の効力が生じるものとする条件付決議の場合には当該効力発生日を任期の起算点とする取扱いでよいと考えるが、そのような解釈は採られていない。
たとえば、3月決算の会社が、臨時総会で効力発生日を4月1日とする吸収合併契約の承認決議をし、併せて4月1日に就任するものとして取締役を選任するようなケースは多いと思われるが、まさに任期が1年変わってくるのである。したがって、原因が「就任」と登記されている場合には、「履歴事項全部証明書」の「登記記録に関する事項欄」を確認することも必要となろう。
また、補欠取締役についても今後制度活用が見込まれるが、任期の起算点はやはり「就任時ではなく、補欠取締役として予選された時」と解されている。
したがって、今後の実務の在り方としては、一般に取締役の退任の登記の際に、原因が「就任」と登記されている場合には、「選任決議の日」を確認することが必要不可欠となる。
なお、整備法第95条により、「この法律の施行の際現に旧株式会社の取締役、監査役又は清算人である者の任期については、なお従前の例による。」とされていることから、施行日に在任していた取締役に関しては、従前どおり「就任の日」が任期の起算点である。
合併に伴う定款変更、取締役の就任等については、これらが合併の法的効果と直接関係がないことから、合併契約の必要的記載事項から外され、別に株主総会の決議が必要と整理されているが、上記によれば、取締役の任期の起算点は、合併による就任の日ではなく、選任決議を行った合併契約承認株主総会等の日ということになる。「選任時」としたのが「株主総会の選任決議と就任承諾との間に長期間の隔たりがある場合などにおいて、任期の終期が株主総会の意思に反する事態が生じかねない(上掲・285頁)ことを避けて、株主総会のコントロールを及ぼしめる趣旨であれば、将来の日に選任の効力が生じるものとする条件付決議の場合には当該効力発生日を任期の起算点とする取扱いでよいと考えるが、そのような解釈は採られていない。
たとえば、3月決算の会社が、臨時総会で効力発生日を4月1日とする吸収合併契約の承認決議をし、併せて4月1日に就任するものとして取締役を選任するようなケースは多いと思われるが、まさに任期が1年変わってくるのである。したがって、原因が「就任」と登記されている場合には、「履歴事項全部証明書」の「登記記録に関する事項欄」を確認することも必要となろう。
また、補欠取締役についても今後制度活用が見込まれるが、任期の起算点はやはり「就任時ではなく、補欠取締役として予選された時」と解されている。
したがって、今後の実務の在り方としては、一般に取締役の退任の登記の際に、原因が「就任」と登記されている場合には、「選任決議の日」を確認することが必要不可欠となる。
なお、整備法第95条により、「この法律の施行の際現に旧株式会社の取締役、監査役又は清算人である者の任期については、なお従前の例による。」とされていることから、施行日に在任していた取締役に関しては、従前どおり「就任の日」が任期の起算点である。